研究課題
基盤研究(C)
公的な制度や権威による正統化を必要としない日常的で娯楽的な歌や楽器演奏や踊りの実践を「ヴァナキュラー音楽」と捉え、近代日本におけるその実践の場について、1)大道、2)寄席・劇場、3)盆踊り、4)ダンスホール、ナイトクラブ、ディスコ、カラオケという事例群を交差させて研究する。明治以前からの連続性と、ジャンルや国境を跨ぎ越す越境性の双方に注目し、現代の実践者とその歴史意識を重視する。併せて、「音楽」「歌舞音曲」「鳴物」などの語彙の批判的再検討を行う。事例研究と概念史の接続を通じて、従来自明視されてきた「洋楽受容史」の立場を乗り越える新たな近代日本音楽史の記述方法の可能性を模索する。