研究課題/領域番号 |
23K00230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
北爪 裕道 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (20966907)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 音響表現の新技術開発 / 海外フォーラムで発表 / 新音楽実践環境の構築 / 音楽の新上演法試行 / 技術基盤教育の創始 / コンピュータ音楽 / 電子音響音楽 / インスタレーション / 作曲 / STEAM教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、電子技術の活用による音楽の表現法拡張の基礎を解き明かすとともに、その音楽を核とする教育環境開発への応用も検討する。ゲーム産業やメディアアートで成果の多い我が国から、新しい表現法拡張に向けた基礎研究に取り組み、多様なアウトソースを検討することは、多くの飛躍や発展の可能性を秘めている。また教育の分野でも、AIが標準化した社会で創造的に活躍できる人材を育成する「STEAM教育」への要請が高まる中、「Arts」の表現者としての研鑽を積みつつ教員志望の学生が多い北海道教育大学を拠点に、それに対応した教員の人材育成体制および教材の開発を目指し、実体あるSTEAM教育法の確立を企図したい。
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研究実績の概要 |
令和5年度に予定していた、国内外での準備リサーチ、新音楽実践環境の試験構築、電子技術を利用した既存音楽作品の解析、そしてそれらに関連する教育の基盤カリキュラムの整備は、いずれも達成されたといえる。 まず、岩見沢校に研究計画遂行に必要な音響機材を大学備品とのバランスも考慮しつつ選定し購入、実践環境を構築した。並行して、電子技術を使用した近年の国内外の音楽作品について幅広くリサーチし、実際にそれらの演奏プログラムなどを入手、作動実験なども行い、研究した。 そしてそれらの成果として、慎重に吟味し選定した新音楽の曲目による音楽公演を2回、2024年1月に岩見沢校内の音楽ホールで、同年2月に札幌市民交流プラザ内の会場で、それぞれ開催した。同時に、その運営に岩見沢校の学生たちに参加させ、関連する技術や知見などを実践的に指導しながらカリキュラムを模索した。翌年度より実際に授業として開始する。 また並行して進めていた東京大学、早稲田大学、広島国際大学の研究室との共同研究により、新型聴覚ARデバイスの様々な応用的利用法を検証した。その一環として研究代表者が構築した新型立体音響システムとそのシステムを使用した音響作品は、フランス・パリで行われるIRCAMフォーラム2024(30周年記念特別エディション)の発表題目に選出され、2024年3月21日にIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)でインスタレーション作品とともに発表された。これにより、予定していた単なる「海外調査」以上の、アウトプットを伴うグローバルな情報共有を行うことができた。 また上記音楽公演も単なる電子技術を利用した新音楽上演のみにとどまらず、照明家やリキッドライティングのアーティストなどの舞台芸術家と協働し、音楽の新しい上演法を模索し実現することができた。この点においても、初年度は当初の計画以上の成果を得ることができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の課題としていた「新音楽実践環境の試験構築」を前半期間で達成できたこともあり、後半期間に、それを利用した諸々の音楽作品をただ上演するだけでなく、舞台芸術家たちと協働しながら新しい演出を伴った上演形式を模索し実践するという、更に発展的な研究に取り組むことができた。 東京大学、早稲田大学、広島国際大学の各研究室との共同研究により、新型聴覚ARヘッドセットを使用した、新しい「迫真型」近接音響表現を可能にする新技術の開発に成功。その新技術とそれを使用したインスタレーション作品が、音の技術やアートに関する世界的な情報共有の場である、IRCAMフォーラムの発表者に選出され、2024年3月21日にフランス・パリで発表。もともと予定していた単なる海外調査のみならず、海外に研究成果を発表する機会も得た。 学生たちに電子技術を扱うための研究授業ならびに現場での実践機会を設け、既存作品の解析と試演を行った。
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今後の研究の推進方策 |
新開発した音響技術のさらなる発展的研究と応用の試みとして、新型聴覚ARセットと同じ原理のさらに大型のデバイスを制作した。それを用いた音響作品を制作しつつ、音響システムの研究とブラッシュアップに取り組み、さらなる新しい技術による表現拡張を様々な形で実践する。まずは5月下旬に東京都美術館、その他12月にも札幌市民交流プラザで発表機会を得ている。 令和6年度の課題としていたインスタレーション作品も、それらの場で発表すべく準備中。 また令和5年度に開催した音楽公演の成果をさらに発展させた音楽公演の開催も検討している。 上記の各プロジェクトに必要な基盤教育も、北海道教育大学岩見沢校で、「コンピューターと音楽文化」という授業として既に開始されており、その履修生や、作曲コースの学生などがプロジェクトに関わる予定。
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