研究課題/領域番号 |
23K00236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
一鍬田 徹 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10263659)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ホスピタルアート / 彫刻 / 立体造形 / 立体造形作品 |
研究開始時の研究の概要 |
研究題目は「ホスピタルアートとしての彫刻・立体造形作品の可能性と課題に関する研究」とし,特に彫刻や立体造形作品の特性である実在感,存在感,触知性,モニュメンタル性等の観点から,多くの人が関わる医療機関でのアートの可能性や課題について調査及び研究を行うことで,人に寄り添えるアートのあり方を考察し,社会に寄与したい。
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研究実績の概要 |
当初の計画に従って,2023年9月末に,金沢美術工芸大学及び金沢市立病院を訪問した。同大学では,特にホスピタリティアート・プロジェクトの中心的な活動を担ってきた研究室を訪問し,インタヴューを行なった。また同研究室の紹介により,金沢市立病院で同プロジェクトに関わった職員へのインタヴュー及び施設見学を行うこともできた。 2024年3月には,徳島大学で開催された「医療,介護,福祉とアートのつきあい方を考えるセミナー」に参加し,講演会「病院におけるアート活動の導入と継続の要件」に参加すると共に,その後に開催された研究者,医療関係者等とのワークショップにおいて意見交換を行なった。講師は,自身も彫刻家であると同時に,富山県立リハビリテーション子ども支援センターや名古屋市立大学附属東部医療センターにおけるホスピタルアートの制作・設置に関わっており,その豊富な経験や,海外も含めた研究実績について,大変意義深い示唆を得ることができた。また徳島大学病院のホスピタルギャラリーbe(2008年設置)も訪問し,そこで開催されていた「ちいさくなれ 動物集合!クレイアートの世界展」を鑑賞すると共に,会場に設置されていた感想ノートにおける利用者の率直な感想,意見を閲覧することもでき,改めて医療機関でのアートの存在意義を実感した。特に同展は粘土による立体作品で,本研究テーマとも密接に関係し,その物理的な大きさや作品テーマ,彩色,展示方法に至るまで,多くの示唆を得ることができた。 その他,年間を通してホスピタルアートの関連書籍等を収集すると共に,自身のホームページでその紹介を行った。また研究者自身が制作した広島大学病院『FOUR SEASONS TREE』のデザインに関して,本学造形芸術系コースの学生と共に,新しいデザインを構想し,ホスピタルアートとしての彫刻・立体造形作品の可能性と課題について考察を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
順調とは言えないものの,当初の研究計画に従って,調査研究を進めている。しかし,本研究の主な研究対象である医療機関への調査は,2023年5月に新型コロナウイルスの感染法上の分類が5類に移行したとは言え,配慮を要する部分が少なくなく,調査研究がうまく進められなかったり,十分な成果を得られなかった部分もあった。またこれまでの4年間,大学における学部運営業務(執行部)のために研究遂行に必要な時間を確保できないこともあったが,2023年度末をもってその任を終えることができたため,2024年度は,前年度の課題を整理しつつ,当初の計画の見直しを図り,より積極的な訪問調査や制作者へのインタビュー等を進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間2年目である2024年度は,計画通り,事前調査において先進的な取り組みを行なっていると思われる医療機関の中でも,特に関東・甲信越地区に焦点を当てることにしている。具体的には,国立成育医療研究センター(東京),東京女子医科大学八千代総合医療センター(千葉),筑波大学附属病院(茨城),山梨県立あけぼの医療福祉センター(山梨)等を候補地として考えている。これらの施設訪問と共に,ホスピタルアート作品制作に携わったアーティストへのインタヴュー調査を,可能な限り実施し,成果を得たい。 また2023年もそうであったように,当初計画と異なっても,より有効な情報取集が期待できる場合は,その他の地域への調査や,アーティスト等関係者へのアプローチも積極的に行なっていきたい。 その他,ホスピタルアートの実際について,引き続き,広島大学病院『FOUR SEASONS TREE』のデザインの再検討を行うと共に,可能であればこれまでの成果(マケット作品)を一般に公開し,彫刻・立体造形作品ならでのは可能性と課題についてアンケート調査を行う等して,問題点を明らかにしていきたい。
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