研究課題/領域番号 |
23K00244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
南田 勝也 武蔵大学, 社会学部, 教授 (30412109)
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研究分担者 |
木島 由晶 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (80513176)
永井 純一 関西国際大学, 現代社会学部, 准教授 (90552828)
平石 貴士 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (80914085)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ポピュラー音楽 / ライブ / 美的再帰性 / ミメーシス / 社会調査 / 参与観察 |
研究開始時の研究の概要 |
ポピュラー音楽の公演(以下「音楽ライブ」とする)が社会的な注目を集める現在、その特質や性質を追究した研究は皆無に等しい。本研究は「人はなぜ音楽ライブに行くのか」という学術的「問い」を社会調査の技法を用いて解明する。その際、美的再帰性という概念に着目し、音楽ライブ参加者の動機の研究と文化の美的側面の検討の二本柱で進める。具体的には(a)美的再帰性、ミメーシス概念の理論的検討、(b)意識調査と行動調査の二種の定量調査、(c)インタビュー調査と参与観察の二種の定性調査の3つの方法を中心に、美的再帰性が音楽ライブの偶有性に満ちた時間の流れのなかに発動する可能性を検証し、経験科学の手法で実証を試みる。
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研究実績の概要 |
研究課題「ポピュラー音楽のライブ体験がもたらす美的再帰性に関する考察」を遂行するため、23年度は地固めを行った。研究分担者と月1回の定例会(ZOOM)を開き、上半期はS.Waksman‘Live Music in America'などの先行研究を精読し、下半期はアンケート調査の設計を行った。 また春から夏にかけて、国内の特徴的なフェスや伝統行事への参与観察を敢行した。具体的には5月27日に地方フェスのHoshioto 23(岡山県)、7月28~30日に大規模フェスのFUJI ROCK 23(新潟県)、8月10日にボーカロイドライブのマジカルミライ23(大阪府)、14~17日に伝統行事の新野盆踊り(長野県)、19~20日に都市型フェスのSummer Sonic 23(千葉県)に参加し、累計50組以上のライブパフォーマンスを観察した。いずれも本研究における仮説(1.ライブ参加によって充溢感が昂揚し、2.同時に退屈さや苦痛が伴い、3.その結果「美的再帰性」が発動する)を裏付ける経験であった。 さらに冬から初春にかけて、海外の音楽フェスの参与観察を敢行した。具体的には12月2~3日にタイのMaho Rasop Fes、24年3月13~15日にオースティン(アメリカ)のSouth by Southwest、3月16日にロサンゼルスのRolling Laudに参加した。アジア圏と英語圏の文化実践について、白人中心のロックフェスと黒人中心のヒップホップフェスの文化実践について、日本国内との比較を中心に考察し、複眼的視点を獲得した。 最後に、アンケート調査については、基礎項目・音楽聴取スタイル・音楽行動・音楽への意識・ライブ参加スタイル・ライブでの行動・ライブに対する意識などの項目を立て、調査会社に委託し、24年3月6~8日に実施した。2024年度は、まず本調査の分析からスタートする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェスから伝統行事までさまざまな種類のライブを国内と国外で観察し、データを蓄積することができた。また、音楽ライブ参加者へのアンケート調査も実施できたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まず昨年度末に実施したアンケート調査の分析を進める。多変量解析などの手法も含めて仮説を検証し、論文化するとともに学会発表(武蔵社会学会、日本ポピュラー音楽学会など)を行う。 さらにフィールドワークで得た知見をベースとして編著署を執筆する。研究分担者らを共著者として、なぜライブはかくも存在感を増すに至ったかを主たる問いとした『ライブミュージックの社会学』を出版する。 それら学会活動や執筆活動を通じて得たフィードバックを参考に、2025年度に予定しているデジタル社会調査(行動履歴調査・リアルタイム調査)を構想する。
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