研究課題/領域番号 |
23K00246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 名古屋芸術大学 |
研究代表者 |
梶田 美香 名古屋芸術大学, 芸術学部, 教授 (70620467)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アウトリーチ / 実施スタイル / アーティストの能力 / アウトリーチ制作者 / 音楽アウトリーチ / コーディネーター / 資質 / 育成プログラム / 開発 |
研究開始時の研究の概要 |
公立劇場の急激な増加をきっかけとして始まったアウトリーチは、音楽が先行して実施数を増加させてきた。当初は、地域の隅々まで音楽を届ける文化振興を目的としていたが、現在ではそれぞれの場所に応じた音楽の活用が求められているため、文化芸術以外の政策分野の視点(地域メリット)が現場に求められている。しかしながら、実際には、演奏者に企画制作を一任している現場が多く、地域メリットをコンテンツに反映させる工夫がなされる事例は少ない。 この状況に鑑みて、本研究では、演奏者と劇場職員の二者をコーディネートする音楽アウトリーチ・コーディネーターの存在が必須と考え、その資質を明らかにした上で育成プログラムを開発する。
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研究実績の概要 |
音楽アウトリーチを実施している公立文化施設に対して、アウトリーチの実施状況を調査した。 その結果、アウトリーチを実施していると回答した施設の内、82%が音楽アウトリーチを実施し、その内の79.3%が鑑賞を中心としたスタイル、49.4%が鑑賞と参加を同程度で併用したスタイルを実施していることがわかった。また、年間実施回数が10回未満の施設では鑑賞を中心としたスタイルのみの実施が53.5%を占め、それに対して50回以上実施している施設では、鑑賞と参加を併用したスタイルや複数のスタイルの実施が89.8%を占めていることもわかった。このことから、鑑賞を中心としたスタイルから始め、経験を重ねながら参加や創作を含むスタイルの実施に至ることが推測されるに至った。 公立文化施設がアーティストに求める能力についての調査では、演奏力だけではなく、コミュニケーション能力、ファシリテーション能力、コーディネート能力が挙げられた。また対象者に寄り添う人柄も重要視しているという結果を得た。特に、鑑賞と参加を併用しているスタイルでは、全ての能力が満遍なく求められることがわかった。しかしながら、アーティストの選考方法は、舞台公演事業を依頼しているアーティストの起用が66.7%を占めており、アウトリーチに求める能力を指標とした選考が行われていないことが明らかとなった。これらのことを反映するように、円滑なアウトリーチを実施するためには、アウトリーチ等のラーニングプログラムを専門とする制作者やアーティストと施設のアウトリーチ事業担当者を繋ぐ人材が求められるという結果を得た。 この調査結果を踏まえ、アーティストと公立文化施設のアウトリーチ制作者に質的調査を行ったところ、アーティストと制作者の間にアウトリーチに対する熱意の差や、関係性の希薄さがあることがわかった。次年度の調査でさらに調べたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
公立文化施設でアウトリーチを実施しているアーティストへの量的調査を実施する計画だが、アーティストへの調査協力を依頼する公立文化施設の分類に時間を要している。公立文化施設への量的調査でアーティストへの調査協力依頼の可否を尋ねたところ、多くの施設が調査協力を可としているため、その分類が複雑になっていることが理由である。2023年度は、量的調査に回答した一施設をクロースアップし、アウトリーチを実施しているアーティストへのヒアリングを行ったのみにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
計画を次のように変更したい。 2024年度は、アウトリーチのスタイルごとに、アーティストに対する意識調査(定量調査)を行う。また、定量調査に基づいた定性調査を兼ねて、アーティストと制作者・コーディネーターを対象とした公開シンポジウムを長久手市文化の家と協働で実施する。また、スタイルごとにアウトリーチの参与観察を行い、特徴を分析する。この他、東京文化会館における人材養成プログラムの実態調査を行う。これらの結果を、日本アートマネジメント学会にて発表する予定にしている。当初予定していた、アウトリーチ・コーディネーターの資質整理は延期し、コーディネーター育成プログラム開発と併せて2025年度に行う。
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