研究課題/領域番号 |
23K00257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山田 敦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (80322767)
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研究分担者 |
山田 美香 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90331610)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 川上瀧彌 / 宮部金吾 / 田代安定 / 金平亮三 / 日本統治期台湾 / 植物分類学 / 植物学史 / 林業史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、田代安定と川上瀧彌という2人の、台湾総督府官僚でもあった植物学者の台湾内外での活動を軸とし、林学側から植物学へと接近した金平亮三の活動を補助線として、日本統治期の台湾林業に植物学者がどう関わり、彼らが台湾林業にどのような影響を(実務面でだけなく、知的な影響についても)与えたのかを明らかにすることである。そこでは狭義の林業・林政だけでなく、林業教育を含めた広義の林業を対象とする。研究手法は文献研究であり、台湾を含む各地への資料収集を伴う。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本統治期(特に前期)の台湾林業史において、今まで無視・軽視されていた川上瀧彌や田代安定ら、植物学(植物分類学)者たちの役割を分析することを通じて、台湾林業はどのように植物学を、そして植物学や林学の背景にある欧米の知を受容したのかを、解明するものである。 2023年度は一次資料の読解を予定していたが、明治期くずし字に対応した有料OCRであるTOPPAN社の「ふみのはゼミ」が2022年末に開発されたため、それを読解補助に利用して、一次資料の中でも特に読解が難しい、手書きのくずし字文書の読解を(楷書の公文書や活字の書籍よりも)先に着手することとした。まず着手したのは、北海道大学大学文書館の宮部金吾旧蔵書簡の一部である、川上瀧彌の書簡(川上から恩師の宮部金吾に送られた書簡)である。川上は本研究で取り上げる中心的人物であり、かつ筆まめで任地(熊本を経て台湾へ赴任)での出来事や研究動向を逐一、恩師の宮部に報告している。これを読解することで公文書等ではうかがいしれない学問状況が明らかになる。書簡は88通もあり、また川上は書き癖が強いため、OCRを補助に利用しても年度内には全文解読まで至らなかったが、一定の知見を得ることができた。 調査(旅費は高知を除き、学内経費や私費から支出)は、北海度、東京、神戸、高知、台北での文献収集である。北海道では北海道大学大学文書館をコロナ後初めて訪問し、明治期文書を新たに撮影した。高知は、台湾で調査を行った最初の日本人植物学者の一人である牧野富太郎の出生地であり、牧野の名を冠した県立植物園を見学した。 2023年度の研究成果は、論文集等への執筆があるが、刊行は2024年度になってからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」に記した通り、2023年度は川上瀧彌の書簡の解読に着手した。 しかしながら、書簡は88通もあり、また川上は書き癖が強いため、OCRを補助に利用してもてこずっており、年度内には全文解読まで至らなかった。また他の一次資料の読解も今後必要なため、全体として「やや遅れている」という進捗状況評価となる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、読解が遅れている川上書簡(「研究実績の概要」参照)の読解を、より多くの時間をかけることで済ませ、他の一次資料の読解も進めて遅れを取り戻す。 「研究計画調書」では今年度9月上旬となっていた、台湾史研究会の学術大会は、8月24日に開催予定である。エントリーを済ませており、予定通り報告を行う。 研究遂行上の問題としては、「研究計画調書」執筆時には予定していなかった、有料版OCRの利用を行っていることがある。資金不足で、2024年度は本科研から一部を支出することとなり、その分、本科研の他の経費(具体的には旅費)を削減せざるを得ない。よって、少ない資金で効果的に研究できるよう工夫が必要である。
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