研究課題/領域番号 |
23K00260
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
|
研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
松村 紀明 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (00422379)
|
研究分担者 |
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 教授 (40301733)
梶谷 真司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50365920)
木下 浩 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (50838092)
鈴木 達彦 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (70737824)
清水 信子 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (80445709)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 在村医 / 地域医療 / 岡山県 / 医療史 / 種痘 / 吉岡家 / 近代医療システム構築過程 |
研究開始時の研究の概要 |
岡山県内の記録資料館・博物館・公立図書館や在村医家に所蔵されている明治初期の医療記録・医療書籍・器機類を調査・分析し、幕末から明治初期(特に明治元から10年頃)の岡山県域の地域医療の現場の実態を明らかにする。さらに同時期に明治政府や岡山県庁が出した法令・布告はどのようなものであったのかを明らかにし、加えて地域医療の現場と法令・布告の関係性はどのようなものであったのかを明らかにする。以上から、地域医療の視点から明治初期の近代医療システムの構築過程を解明する。
|
研究実績の概要 |
本科研プロジェクトの概要・目的は、岡山県内の記録資料館・博物館・公立図書館や在村医家に所蔵されている明治初期の医療記録・医療書籍・器機類を調査・分析し、幕末から明治初期(特に明治元から10年頃)の岡山県域の地域医療の現場の実態を明らかにし、並行して、同時期に明治政府や岡山県庁が出した法令・布告の内容と岡山の地域医療医療の現場と法令・布告の関係性を解明し、地域医療の視点から明治初期の近代医療システムの構築過程を検討することである。これに従って、2023年度は次のような観点からの研究活動を行った。 種痘の歴史という観点から。江戸末期から明治・大正・昭和にかけての岡山県域における種痘の実際について、本科研の前から調査研究を継続してきたが、その成果を『岡山の種痘』(日本文教出版)としてまとめて公開した。その内容は、各所に所蔵されている在村医家の史料調査や岡山県庁が出した法令・布告の内容分析から、天然痘に対する予防接種であり近代的な医療の先駆けとも言える種痘の普及の実際を明らかにしたものであり、地域医療という視点からの近代医療システムの構築過程の解明の好例と言えるであろう。 また、先行する科研から継続して調査が行われてきたものの新型コロナ禍によりその結果分析・公表が遅れてきた岡山市(旧建部町)吉岡家について。現地墓所調査・蔵書構成調査により、同医家が幕末から明治期にかけて地域で担った役割について明らかにし、その成果を「中島医家資料研究」第1巻第4号のなかの「福渡の医家吉岡家の蔵書について」・「吉岡家蔵書・文書目録」として公表した。 その他の在村医家の史料調査について。上記以外にも各所で調査を行ったが、その成果の一部を「中島医家資料研究」第1巻第4号のなかの「『三字話』解題・翻刻」・「太田杏三書簡(野崎万三郎宛、架蔵)の紹介」・「岡山県布達甲第百十九号(避病院)」として公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度ながらも、当初計画していた成果集である「中島医家資料研究」第1巻第4号の刊行により、医家・吉岡家などの調査研究成果を公表できただけではなく、日本文教出版で刊行されている「岡山文庫」シリーズの1冊として成果を公開する話が急遽持ち上がり、岡山の種痘の歴史を『岡山の種痘』としてまとめることができた。両者とも、本科研最大の目的である「地域医療の視点から明治初期の近代医療システムの構築過程を検討」に合致する、大きな成果であると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
在村医家史料調査として、次に挙げるものを計画中である。 内田家(井原市・現在同家は他県に転居)、山田純造、在村医仁木家、津山藩医仁木家(以上3つは津山洋学資料館に所蔵)、生田家、万代家、仲田家、杉生家、難波家(旧御津町)。 以上の医家は、先行研究・目録などが存在しないものもありが既にそれらがあるものもあるが、岡山県に限らず明治初期の在村医家の史料調査・研究という観点からは十分に行われているとは言い難いので、新規の史料発掘だけではなく既知の史料の再検討も行いたい。
|