研究課題
基盤研究(C)
本研究は、文学研究の方法を活かして、通称「千代野物語」の具体的な検討を行うことで、中世における禅のあり方を問い直すものである。「千代野物語」は、尼寺で働く在俗の女性が見様見真似で修行をして悟りに至る過程を描いた、中世の女性の開悟を主題とする唯一無二の作品である。この物語の生成や享受の歴史的変遷を解明することによって、中世の禅宗における女性の問題を照らし出し、さらには本作品の文学史的位置づけを試みて、中世文学研究の新たな可能性を提示することを目指す。