本研究は、室町期の学者達の間での中国史書・正史の享受の様相の実態を解明するものである。三史については考察対象となることも多かったが、それ以降の正史は、三国志を除いては、ほとんど考察がなされていたい。しかし、“二十一史”という括りが江戸初期に意識されていることから、室町期にもその前段階の動きが見られてしかるべきである。そこで、当該時期の学者達の著述内に記された二十一史に関する言及を抽出・整理し、彼らの中国史書・正史への取り組み姿勢、およびその背景にある彼らの学問状況を明らかにする。これを行うことで、申請者がこれまで取り組んできた三国志享受の相対化も可能になる。
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