研究課題/領域番号 |
23K00283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
竹本 幹夫 早稲田大学, 文学学術院, 名誉教授 (90138181)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 吉田東伍 / 吉田文庫 / 能楽 / 世阿弥十六部集 / 歴史地理学 / 地誌 / 近世漢詩文 / 近代漢詩文 / 世阿弥 / 芸能 |
研究開始時の研究の概要 |
世阿弥の発見者として知られる歴史地理学の泰斗吉田東伍の旧蔵書を保存する、新潟市秋葉区の吉田文庫の全蔵書の調査を完了させ、全資料をデジタル化して公開することを目指す。 さらに、吉田東伍の校訂本文『能楽古典世阿弥十六部集』は、翻刻底本となった原本が関東大震災で焼失したため、翻刻本文が底本となっているような例が少なくない。また古写本はあるが本文的には良質とは言いがたく、吉田東伍の校訂本文が有力な対校本であるような例も複数存在する。これらについて、『能楽古典世阿弥十六部集』の校訂上の問題点を再検すると共に、世阿弥能楽論のより良質な校訂本文の作成も目指す。 以上が本研究の概要である。
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研究実績の概要 |
新潟県新潟市秋葉区大鹿624所在の吉田文庫蔵書の調査研究を行った。現在、調査対象が次第に漢詩文関係の資料に傾いているが、これは文庫総量の悉皆網羅作業の必要上、そのような形になっているものである。令和5年度の調査により、未調査分は200件未満(文庫長吉田ゆき氏のお話では100件程度ということであったが、多めに見積もった)となり、基礎調査・撮影の完了が見えてきた印象である。12月分の調査で9件946コマの撮影を行い、3月分の調査では27件3481コマの撮影を行った。合わせて書誌データのデータベースへの入力を行った。なお今回の撮影にピントの甘い例が複数あり、カメラの自動焦点機構に問題があることが発覚したため、次年度に修理を行う予定である。 以上の調査・研究出張2件による文庫所蔵文書の調査研究が本年度の主たる実績であるが、この他に、吉田文庫所蔵の世阿弥伝書『三道』について、能楽学会主催「世阿弥忌セミナー」(令和5年9月16日(土)において「『三道』六百年」と題する研究集会が行われ、竹本が「『三道』と元能」という題で研究講演(招待講演)を行った。当該講演は吉田文庫本を底本として『三道』本文を再検し、合わせて被相伝者秦元能の人物像や能作実績等々について総合的に論じたものであり、令和六年刊行予定の学会紀要『能と狂言』22号に掲載のため、現在その報告を執筆中である。また研究協力者の江口文恵早稲田大学非常勤講師と共編で、本年3月刊行の『演劇研究』(早稲田大学演劇博物館紀要)に資料紹介を行い、令和6年1月にはもう一人の研究協力者である山吉頌平早稲田大学助手と共に、早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携拠点主催日仏シンポジウム「病とその表象」に登壇し、竹本は基調講演を、山吉は研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(令和5年度)は2度の出張しか出来なかったため、36件4427コマの撮影を行い、4091番を付した資料までの書誌記録を行い、4068番までをデータベース化した。写真撮影は4033番の途中までである。なお前年以前の調査分は3751件である。 残りが最大で200件としても、作業ペースが平常に復帰する次年度以降の3年間での完了が見込まれる。実際には200件はないという印象で、文庫管理者の説明に拠れば100件程度とのことである。書庫内立ち入りが許されていないので状況把握が正確ではないが、恐らく管理者の説明から大きく外れるものではないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(令和5年度)の作業ペースから見積もって、書誌調査自体は100件を超えることが十分に可能である。データベースへの書き加えもその八割方は可能である。撮影は1件ごとにコマ数の膨大なものもあるが、1万コマ以上の撮影は可能である。 令和6年度には、昨年行った学術講演を論文化すると共に、データベースの見直し検証を行い、データの重複等の抜き出しを完了する。2001年に初めて調査に入って以来、スタッフを揃えての調査を開始するまでに撮影した写真と、それ以後に開始されたデータベースとの間に同定作業の必要な部分が多々あり、また写真自体に不調なものを大分含むので、それらを抜き出して後日の再撮影に備える必要もある。
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