研究課題/領域番号 |
23K00291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
中西 智子 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (70791771)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 源氏物語 / 長篇化 / 藤原道長家 / 物語制作 / 栄花物語 / 女性 / 集団性・共同性 / 政治と文学 / 紫式部 / 藤原道長 / 読者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現在五十四帖にわたる大長篇としての姿を持つ『源氏物語』が、成立当初は多彩な生成・享受の「場」を持ち、むしろ短篇の集積といった相貌を示していた点を、藤原道長家における政治・社交と文学のかかわりの面から検証しようとするものである。長らく看過されてきた『源氏物語』の巻々の系列(ブロック)分類の研究に再び光を当て、新たに平安中期の女性の手になる散文作品の集団性・共同性、およびパトロンの意向という社会的な要素を加味することによって、当時の宮廷社会の実態に即した新たな成立論の構築を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は、現在五十四帖にわたる大長篇としての姿を持つ『源氏物語』が、成立当初は多彩な生成・享受の「場」を持ち、むしろ短篇の集積といった相貌を示していた点を、藤原道長家における政治・社交と文学のかかわりの面から検証しようとするものである。長らく看過されてきた『源氏物語』の巻々の系列(ブロック)分類の研究に再び光を当て、新たに平安中期の女性の手になる散文作品の集団性・共同性、およびパトロンの意向という社会的な要素を加味することによって、当時の宮廷社会の実態に即した新たな成立論の構築を試みる。 本研究は「【A】『源氏物語』の長篇化の要因に関する考究【B】研究成果の、国内外の学界における発信」の二点を目的として進めている。 一年目にあたる令和五年度(当該年度)は、当初の計画通り、まずは『源氏物語』・『栄花物語』・『御堂関白集』を中心に、道長家周辺で文学作品の受容・生成を行い、かつ道長家と密接な人的交流の機会を有していた文化圏に関する調査に着手した。従来個々の作品の研究ごとに示されてきた情報を総合的に把握して相関関係を確認し、本研究の土台を構築する重要な作業である。この研究成果の一端を、書籍掲載論文「藤原道長家と「源氏」の物語」および研究論文「道長家の〈花〉としての藤原妍子像―『源氏物語』と『栄花物語』の間に―」にそれぞれまとめ、公開した。また講演会および市民講座への登壇、ニューズレターへのコラム執筆等を通じて社会に還元した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、当初の計画通りに進んでいる。一~二年目に行うものとしていた「①藤原道長家周辺の文化的交流圏の調査」に際し、道長とその子女をめぐる人々の名・身分・家柄等の情報を収集し、そこに文学作品の生成・受容の分布状況を重ねて、摂関期の宮廷社会における人とテクストとの総合的な相関図を作成するための下準備が進んだ。 また三~四年目に行うものとしていた「②『源氏物語』の系列(ブロック)ごとの読者層の差異の解明」についても、①の作業を行う中であわせて解明への道筋が大きくひらかれた点があった。 さらに社会に対する学術的成果の還元という点では、大河ドラマの影響で紫式部や『源氏物語』に対する一般の方々の興味が高まった折、講演などを通して、平安時代の物語文学の生成・受容、また紫式部と『源氏物語』の制作環境などに関する情報を精力的に発信した。 以上により、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の研究計画に沿って進めてゆく予定である。『御堂関白集』に見える藤原道長家の人々の和歌贈答や、歴史物語に記された「源氏」・「藤原氏」に関するこの家の人々の意識などの再検討を行いつつ、『源氏物語』の系列(ブロック)ごとの享受の問題についてさらに考究してゆく。いずれも適宜口頭発表の機会を得て、すみやかに論文化することを目指す。
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