研究課題/領域番号 |
23K00296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中森 康之 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 教授 (80320604)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 俳諧 / 支考 / 芭蕉 / 蝶夢 / 俳論 / 思想 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「芭蕉流表現原理」とその史的意義の解明を目的とする。具体的には、「芭蕉流表現原理」とはどのようなものなのか、それは門人や後世の俳人たちにどのように共有されていったのかを明らかにしようとするものである。またそれは、なぜ蕉門の俳諧が広がり、近世中後期に俳諧人口が爆発的に増えたのか、何が彼らを惹きつけたのかを明らかにすることでもある。 これは、俳諧という表現行為が人間にとって如何なる意味と価値、魅力があるのかを解明することであり、それと同時に、これまでの「発句の文学的価値による俳諧史」を、「芭蕉流表現原理」を核とした「思想としての俳諧史」へと再構築するための基盤研究でもある。
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研究実績の概要 |
研究期間を通した本研究の目的は、「芭蕉流表現原理」とその史的意義を解明することである。 初年度にあたる2023年度は、まず「芭蕉流表現原理」に影響を与えた『荘子』などの思想を踏まえた上で、「芭蕉流表現原理」を本質的に論じている支考『俳諧十論』(一部)の詳細な解読を公開した(論文)。 次に、「芭蕉流表現原理」の後世への継承に関して研究を行った。具体的には、「芭蕉流表現原理」が支考を媒介して蝶夢へと継承され、それが蝶夢の時代に他の文学ジャンルを巻き込みながら、蕉風復興運動として全国の人々のネットワークを形成していたことを明らかにした(シンポジウム招待講演)。 さらに、「芭蕉流表現原理」が、芭蕉の門人たちにどのように共有されていたかを明らかにした。具体的には、杉風、其角、嵐雪、曽良、去来、凡兆、支考、惟然、許六、土芳、野坡について、毎週オンラインで開催している研究会のメンバーと共同で解明した。研究代表者は取り纏め役として、彼らに共有されていた「芭蕉流表現原理」の理解を取り出した。特にその中でも、支考、土芳、野坡については、作品、俳論、自筆資料、伝書等を解読し、それぞれの門人たちが、「芭蕉流表現原理」をどのように理解していたのかを明らかにした(これについては、2024年度に成果を公開する予定である)。 最後に、「芭蕉流表現原理」の史的意義と展開について、近代俳句の研究者、近代の歴史研究者等と意見交換を行った。この点については、2026年度に向けて少しずつ解明していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「交付申請書」の「研究実施計画」に記載した、(1)芭蕉が強い影響を受けた思想を明らかにした上で、「芭蕉流表現原理」とは何かを明らかにすることについて、ほぼ定義付けることができた。おおむねというのは、明らかにしたもの以外にも芭蕉が強い影響を受けた思想等があるかもしれないことと、今後の研究によってよりよい定義が可能かも知れないので、引き続き検討する予定だからである。 また、2024年度を中心に実施予定だった、(2)それが門人たち(支考、其角、惟然、丈草、許六、去来、土芳、野坡) にどのように共有されていたのかを明らかにすることについても、研究がかなり進み、2024年度には単行本(共編著)によって成果を公開できる予定だからである。 さらに、(3)それが後世の俳人たち(蝶夢、白雄、麦水、闌更、也有)にどのように共有されたのか、(4)その史的意義(韻文表現史における新しさ)についても、研究会メンバーと随時意見交換、情報共有を行っている。 以上のことから判断した。
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今後の研究の推進方策 |
基本的にはこれまで通り進めることで問題はない。具体的には、個人での資料収集、解読、考察と並行して、(1)オンライン研究会の継続、(2)共同研究の実施(特に俳諧以外の研究者や世界の文学・哲学・思想の研究者)、(3)『俳諧十論』の注釈の公開等を行う予定である。これまでも順調に行っており、今後も特に大きな問題はないと思われる。もちろん想定外の事態が発生した場合は、臨機応変に対応する。
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