研究課題/領域番号 |
23K00301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
小井土 守敏 大妻女子大学, 文学部, 教授 (30352660)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 曽我物語 / 武田本 / 劇化 / 注釈 |
研究開始時の研究の概要 |
『曽我物語』の作品世界は、非常に伝承性が強く、真名本、訓読本、仮名本それぞれに、本文が整えられていった時代や地域特有の伝承世界を投影している。そして本作品が後代の作品、文化に与えた影響は大きく、様々な領域へ広がりを見せる作品である。特に、仮名本『曽我物語』出現の背景には、歴史の「物語化」と「大衆化」があると考えている。そこには、物語の劇化が進んでいくために普遍的な展開があると考えられる。人々が物語に求めるものはなにか、そして物語本文はどのようにそれに応えていったのか、という点を明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
今年度は、以下の4点について注力した。 (1)円成寺本『曽我物語』本文の策定…円成寺本の影印を紙焼き写真にもとづき、その本文の翻刻を進めた。全12巻のうち4巻相当まで進行している。併せて、本研究の底本である武田本の本文との対校を進めている。 (2)『平家物語評判秘伝抄』の翻刻紹介…注釈書のあり方の例として近世期の注釈書、『平家物語評判秘伝抄』の翻刻紹介を進めた。その成果は、『人間生活文化研究』第33号にて公表した。 (3)注釈作業におけるデジタル資料の利用について…2023年度中世文学会春季大会シンポジウム「デジタル時代の本文校合」においてパネリストを務め、『曽我物語』の本文作成、注釈作業を通じたデジタル資料の利活用について実践報告を行なった。この報告は文章化し、学会誌『中世文学』第69号(2024年6月発行)に掲載される予定である。 (4)絵画との関係…本研究費助成金で『曽我物語』の絵巻を購入することができた。幕末に制作されたものであるが、書誌的な調査を進めている。全編が揃っていない可能性が高く、また、継ぎ目の剥離により順序についても検証する必要があるが、現時点では、東京国立博物館所蔵の『曽我物語図』との関係について調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主たる目標である武田本『曽我物語』の全注釈について、円成寺本等、周辺資料の解読と武田本との比較は順調に進んでいる。初年度は、基礎的な作業を積み重ねていく計画であったので、その研究内容や進捗については計画の通りである。 その間にも、シンポジウムのパネリストに呼んでいただいたり、絵巻などの新たな資料にめぐり会えたことで、考えなければならないことは拡散した感はある。しかし、すべて本研究課題の達成に役立っていくものであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通りに進めていく予定である。基本的には、武田本『曽我物語』と円成寺本を比較対照しつつ、武田本の注釈を目指す。その注釈を通して、芸能や絵画といった作品享受のあり方について、考察を深めていこうと考えている。
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