本研究は、五山僧の蘇軾詩注釈を資料に、日本中世における漢籍の舶載状況を明らかにしようとするものである。日本の中世文化が中国近世文化のつよい影響をうけたことはすでに指摘されている。重要な役割を果たしたのは漢籍である。1127年に中国では南宋が成立し、商業印刷出版が本格的に始まった。それは元明時代にいっそう拡大し、漢籍の生産量は飛躍的に増加した。くだんの増加は日中間の貿易の拡大にともない、日本の漢籍輸入量の増加に直結したはずである。そのことを五山禅林で作成された蘇軾詩の注釈(抄物)を資料に明らかにする。
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