研究課題/領域番号 |
23K00309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
倉橋 正惠 立命館大学, 研究部・衣笠リサーチオフィス, 職員 (90425017)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 歌舞伎 / 出版 / 浮世絵 / 近世文学 / 情報 / メディア / 芸能 / 文化史 / 文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はこれまで申請者が行ってきた歌舞伎、役者資料についての基礎研究をふまえて、近世期における情報社会の形成という視点を付け加えることで、新たな方向へと展開させるものである。 本研究の第一の目的は、役者の個人情報や評価、格付けといった役者情報が文芸化、商品化されることによって世間へ流布し、一般の人々に享受されていった様子を探る。さらに、役者情報の流れを追っていくことで、江戸や大坂、京都といった都市生活の中で情報社会が形成されていく過程を考察する。 第二の目的は、近世期の情報文化史という視点から歌舞伎周辺の出版物を捉え、芸能と文芸、及び出版活動を包括する都市文化の形成を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
本研究は平成29~令和2年度にかけて行った「歌舞伎興行と近世期出版商業活動における連動性についての発展的研究」(基盤研究C・課題番号17K02475、研究代表者倉橋正恵)の研究成果をもととして、近世期のメディアという視点から芸能と文芸、及び出版活動の密接な関係性を探り、情報社会でもあった近世都市文化形成の一端を明らかにしようと試みるものである。 今年度は役者の個人情報や評価、格付けなどを記した「役者給金付」や一枚摺の「役者評判記」という出版物に注目し、役者の似顔、屋号、俳名、住所、格付けを示す給金額といった個々の役者情報を収集して今後の役者研究の基礎を完成させることを第一の目標とした。その結果、18世紀末から19世紀末にかけて約220点の資料に収録された約600名の役者についての情報約3800件を収集し、それらを全てデータベース化した。これと同時に、役者給金付については資料ごとの翻刻原稿を作成し、今後本研究の成果発表の一つとして予定している資料集刊行の準備を開始することができた。 また、今年度は幕末から明治初期にかけて江戸・東京で流行した役者の評判や噂を風刺的に絵画・文芸化した「役者評判絵」についても注目し、約170点の作品目録を作成した。今後はこの作品目録をもとに、役者評判絵を中心とした資料集の刊行準備を開始する予定である。さらに、役者評判絵からは各作品に描かれている役者や、画中に描きこまれた詞書についても詳細なデータを収集している。次年度以降はこれらのデータを解析して、19世紀中頃の江戸・東京の歌舞伎界の相関図を作成し、それぞれの役者に対する当時の評価についてもまとめた学術論文等を研究成果として発表していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は職務上の問題により、本研究の研究調査に費やすことのできる時間が当初予定していたものよりも著しく減少した。そのため、これまでに収集してきた資料から役者に関する情報を収集し、役者情報データベースや作品目録を作成するまでにとどまり、研究発表や研究論文の公刊といった成果発表に至ることができなかった。この点を考慮して、上記の進捗状況とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は多様な出版物から収集した役者情報の研究成果公開を目指すと共に、元となった資料群のデジタルアーカイブ化をすすめ、資料の画像についても広く一般に公開することを目指す。また、今後江戸後期の歌舞伎役者の基礎研究を充実させるため、資料集の刊行を目標に掲げてその準備を開始する。 加えて、コロナ禍で中断していた近世期から近代にかけての歌舞伎を中心とする芸能興行についての研究会活動を再開し、江戸・中村座の日記資料『中村座日記』の資料集刊行準備を再開させると共に、歌舞伎を中止とした芸能興行と近世期の出版活動の関係性についての研究をさらに深めていく予定である。
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