研究課題/領域番号 |
23K00312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
朝倉 和 広島商船高等専門学校, その他部局, 教授 (00390493)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 惟肖得巌 / 応永期の五山文学 / 花上集 / 東海ケイ華集 / 抄物 / 絶海中津 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、義堂周信・絶海中津の文学・学問を継承した、応永期を代表する学僧・詩僧である惟肖得巌(1360-1437)が、禅林文芸の中でどのような役割を担っていたのかを検証する。応永年間(1394-1428)には、中国文学が積極的に受容され、大陸の内典・外集作品の講義が活発化したり、詩画軸ブームもあり、「五山文学の真骨頂」(玉村竹二『五山文学』)たる作品が量産された。
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研究実績の概要 |
『花上集』及び『中華若木詩抄』は五山詩の総集であり、童蒙や少年僧の文筆修業のために編纂された、言わば、作詩の教科書・参考書としての性格を持っている。したがって、両作品集に収録される代表的な惟肖詩を読解することにより、惟肖詩の特徴(素材・表現・典拠等)の概要を把握できると考えるのは理に適っている。今回は『花上集』所収の惟肖詩10首(東福寺霊雲院本には11首、『花上集鈔』には13首)の注釈を試みた。その際、国立公文書館 内閣文庫蔵『花上集鈔』(室町末期写)を全面的に活用した。 『花上集』の底本は、寛永8年(1631)版本を用いた。本文の校異には、内閣文庫本Ⅰ(写本、特119-15)、慶應義塾図書館本Ⅰ(岡田眞旧蔵本)(写本、110X-81-1)、東福寺霊雲院本(東京大学史料編纂所蔵マイクロフィルムによる)(6114-102-63)、内閣文庫蔵『花上集鈔』を用いた。本文、校異、他書所伝、語釈、試訳、余滴を付した。余滴には、主に『花上集』撰者が当該詩を取り上げた意図に関して、『花上集鈔』鈔者がどのように理解した上で解釈しているか、報告者の見解を述べた。当時人口に膾炙した名誉詩であったり、斬新な着眼点が認められる詩や、文筆を志す初心者には格好の模範作例、五山詩では典型的な題材(海棠・林和靖・商山四皓等)を扱った詩など、今後の惟肖詩読解の指標となるような内容を確認できた。 また、他書所伝に注目すると、『花上集』における惟肖詩の収集源は明確ではなく、『東海ケイ華集』の諸本収集やその体系化は、意義深いものとなることが予想された。慶應義塾大学・斯道文庫を起点とした文献調査活動では、玉村竹二氏が「幸にも本集(五山文学新集・第2巻)に収録できたのは、(中略)大いなる喜びである」と発言された、非常に珍しい建仁寺両足院所蔵『東海ケイ華集(絶句)』や、瀧田英二氏所蔵『東海ケイ花集』に出会うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日常の業務的な観点から言うと、管理職(学生主事、副校長)に就いたことにより、研究に集中しづらい状況が続いている。 さらに、斯道文庫所蔵の両足院マイクロ資料に関して、複写許可がなかなか下りず、作業が滞ってしまった一面がある(現在は解消している)。
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今後の研究の推進方策 |
管理職業務に関しては、任期が今年度いっぱいなので、致し方ない。 研究協力体制を駆使して、研究を軌道に乗せていきたいと考えている。抄物や詩の解釈に関しては太田亨氏(広島大学)、伝本研究に関しては堀川貴司氏(慶應義塾大学・斯道文庫)や石川一氏(県立広島大学名誉教授)にご教示いただきたいと考えている。
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