本研究は、近年の進展めざましい『うつほ物語』研究を総合的・多角的に推進するものである。研究の柱は大きく三つに分けられる。(1)これまでの註釈の成果を踏まえ、さらに文学的な批評・鑑賞を重視した註釈の作成、(2)長大な『うつほ』を読み解くための指針となる、重要事項を集成、整理した辞典・辞典の作成。(3)広く一般読者に『うつほ』の魅力を伝える入門書の作成。この三つの柱を関連づけて研究を進める。長篇『うつほ』を対象とする本研究の遂行・完成には多大な労力と時間を要する。期間内では、物語のほぼ半分に位置する「沖つ白波」巻までを対象として研究を進める。
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