研究課題/領域番号 |
23K00320
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (10548720)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 小津久足 / 小津桂窓 / 書簡 / 分野横断 / 雅俗 / 伊勢商人 / 湯浅屋与右衛門 / 雑学庵 / 近世文化 |
研究開始時の研究の概要 |
馬琴の友人、蔵書家・歌人・紀行文作家として知られる小津桂窓(久足)は、伊勢商人・小津与右衛門として干鰯問屋を営んでいた。現在、桂窓に宛てた馬琴書簡約140通、また蔵書仲間に宛てた桂窓書簡約180通は、翻刻・出版されている。しかし、文学研究の興味から外れた未紹介の書簡が約250通あり、未整理の書簡も大量に残されている。よって分野横断的な視座に立ち、歴史学・経済史・美術史等において、新たな知見をもたらす未紹介・未整理書簡を調査・分析し、一群の小津桂窓関連書簡を総体としてとらえなおすことで、文学と歴史、文化と職業の有機的な関係を見定め、江戸時代における文化的・経済的営為の総体的な姿を浮び上がらせる。
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研究実績の概要 |
小津桂窓に関係する書簡を、文学的内容の有無に関係なく悉皆的に調査・分析することを目的とした本研究において、本年度、さっそく大きな成果を得ることができた。拙著『大才子 小津久足』(中公選書)により小津桂窓(久足)の存在に着目した松阪市郷土資料室の杉本喜一氏より、同資料室に多数の小津関係書簡が所蔵されていることを知らされたのである。調査に赴くと、田中繁三収集小津与右衛門家文書として131通の桂窓宛来簡が現存しており、それらをすべてデジタルカメラで撮影することができた。学術的には未報告の書簡群であり、内容的には本居宣長記念館所蔵の書簡群と好一対といえる。また、石水博物館にも赴き、長井家旧蔵書簡として所蔵される7通の石瀬宛桂窓差出書簡を調査・撮影することができた。 これらの成果を踏まえ、2023年6月10日に九州大学伊都キャンパスでおこなわれた2023年度九州大学国語国文学会において、「小津桂窓書簡と近世後期の文化交流について」と題して口頭発表した。また、2024年3月3日に京都産業大学でおこなわれたワークショップワークショップ「18-19世紀京都文芸生成の現場――みやこに吹く新しい風」において、「小津久足と京都」と題して口頭発表した。同ワークショップには美術史や歴史学を専門とする研究者も参加しており、文学研究以外の視点から貴重な意見を得ることができた。 こうした発表を踏まえて、『語文研究』(九州大学国語国文学会)に論文「小津桂窓書簡と近世後期の文化交流について」を投稿し、査読の末採択された(2024年6月刊行予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
松阪市郷土資料室の田中繁三収集小津与右衛門家文書131通の存在は、本研究の計画段階ではまったく把握しておらず、同資料室の杉本氏によると、学術的な利用はこれまでほぼない状態であるという。こうした未紹介書簡の存在を知り、調査・撮影して口頭発表・論文執筆につなげることができたため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年4月1日から9月30日まで、勤務校で滞在研究に赴くことを許された。よって小津桂窓が愛し、関係が深い京都に半年間滞在することになっている。書簡をはじめとした関連資料の調査・研究はもちろんのこと、紀行文で描いた土地をフィールドワークして種々の知見を獲得し、口頭発表・論文執筆につなげる予定である。
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