研究課題/領域番号 |
23K00322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
大屋 多詠子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50451779)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 南総里見八犬伝 / 読本 / 馬琴 / 演劇 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』の同時代性について注目する。同時代性とはここでは具体的には同時代の演劇の利用と、江戸の生活風俗や馬琴の日常の投影を考えている。特に同時代の演劇化作品・抄録合巻との比較を手がかりに、同時代の演劇の典拠や作中に投影された江戸時代の生活風俗や馬琴の日常を見出し、本作を捉え直すことを意図する。 本研究では、 Ⅰ演劇化作品との比較研究、 Ⅱ抄録合巻の翻刻・比較研究、 Ⅲ馬琴の諸記録・江戸風俗資料を利用した作品研究、 の3つの手法を通して本作品を捉え直す。
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研究実績の概要 |
本年度は予定通り、調査と資料収集を中心に行った。また『南総里見八犬伝』の演劇化作品、幕末の『南総里見八犬伝』の合巻化作品についての分析、考察を進めた。その成果の一部は、2023年11月4日第7回東アジア日本研究者協議会国際学術大会(於東京外国語大学)、漢陽大学日本学国際比較研究所企画パネル「映像メディアを通じた日本古典の理解と教育」において、「『南総里見八犬伝』の合巻化・歌舞伎化と現代の映像」というテーマで発表した。『八犬伝』が同時代の合巻にどのように絵画化されたか、また江戸時代の演劇化、近現代の映像化でどのように受容されたかを考察しつつ、それが特に作品の理解と教育においてどのように役立つかという面について発表した。 9月23日には2023年度第一回西日本近世小説研究会(青山学院大学)を開催、馬琴読本を中心とする「最盛期読本と演劇」についての報告を行った。こちらは共同研究「最盛期読本の総合的研究」(基盤C)の一環でもある。最盛期読本と演劇の関わりを俯瞰するものとなったが、本研究と深く連関してより深く『南総里見八犬伝』を理解するために有益な研究となった。 2024年1月20日には演劇研究会(龍谷大学)で絵入根本『絵本敵討巌流島』に関わる発表を行った。本作品は絵本読本『絵本二島英勇記』の歌舞伎化『復讐二島英勇記』の台帳を公刊した作である。この歌舞伎は『南総里見八犬伝』刊行開始の文化十一年の初演で、絵入根本にも同時期の『南総里見八犬伝』『朝夷巡島記』の広告があり、当時の江戸・大坂書肆間で行われた本替が確認できる作品でもある。また読本最盛期に上方で馬琴読本を歌舞伎化した作品にも出演した中山文五郎についての評伝が伝わる。これまであまり着目されてこなかった役者ながら同時代の観客に人気を誇ったことがうかがえ、また本作品でしか伝わらない事跡がある点でも重要な作品で、論文化を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んでいる。初年度では資料の調査・収集を主な予定とし、二年目以降の計画の準備の年であったが、作品分析も開始し、『南総里見八犬伝』の合巻についての発表一件を行うことができた。また本研究の資料調査・収集の過程で、本計画と深く関わる最盛期読本、他の読本作家の作品や絵入読本についての調査も必要となり、必然的に併行することとなったが、その成果の一部は研究実績の概要に記した通り、発表済みあるいは執筆中である。それによって『南総里見八犬伝』周縁の同時代の状況について理解を深め、今後の計画遂行のために有益な視座を得ることが出来た。その他、得られた成果もあるが、詳細は来年度以降の発表を目指して、現在準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は計画に従い、資料の諸本調査を継続する他、翻刻・作品分析の作業を継続する。当初の予定に従い、大きな変更点はない。
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