研究課題/領域番号 |
23K00327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
松本 和也 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (50467198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 岸田国士 / 三木清 / 火野葦平 / 川端龍子 / 藤田嗣治 / 文化工作 / 南方徴用作家 / 戦争画 / 日本文化 / 太平洋戦争 / 戦争文学 / 移動演劇 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、文化(研究)史上の暗黒時代と目されてきた太平洋戦争期に、「日本文化」を体現した表現に注目する。研究対象としては戦争文学(文学領域)を軸に、関連が深い戦争画(美術領域)と移動演劇(演劇領域)も視野に入れ領域横断的な研究を進め、各領域の特徴や相互関連も明らかにしていく。また、各領域の表現が、時局が要請する「日本文化」という理念をどのように捉えたのか、創り手や表現、それらを取り巻く言説から多角的に検討する。本研究の目的は、現在のナショナル・アイデンティティとも深く関わる「日本文化」の構築・再編成が、太平洋戦争期にどのように進んだかを具体的に明らかにすることにある。
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研究実績の概要 |
1年目にあたる今年度は、テーマに掲げた問題領域について先行研究の再検討を行いながら、包括的な「日本文化」についての考察を進めながら、研究副題に掲げた3つの柱それぞれの問題関心からリサーチを進めた。 本研究全体に関わる包括的なテーマである、太平洋戦争期の「日本文化」に関しては、岸田国士を視座として昭和10年代における「文化の擁護」から「文化の建設」へと至る言説の変容を検証し、著書にまとめた。その際には、近代の日本が対峙することとなった、西洋文化との対決・葛藤を体現した「近代の超克」についても、同時代的視座から検証を行った。 3つの柱については、以下のように進めた。 第1に、戦争文学については、中国戦線に関わる火野葦平「広東進軍抄」と、南方徴用作家としてフィリピンで文化工作にあたった三木清の文化工作言説を軸に、関連言説を視野に収めた上で、その歴史的な位置づけを検討した。また、昭和戦前期に関わる文学テクストの分析も進め、谷崎潤一郎「春琴抄」や岡本かの子「鮨」について太平洋戦争下の「日本文化」に関わるかたちで、読解を試みた。 第2に、戦争と美術の関係について、戦時下における美術家の行動、発言、創作について、美術雑誌を軸とした言説の調査を実施した。現状、1939年までの調査を終えて、1年区切りで、論文の執筆をはじめた。1937年の美術言説の動向としては、美術家のなかから従軍するものがあらわれはじめ、秋の美術シーズンにも日中戦争をモチーフとした作品があらわれはじめ、賛否両論が闘わされた様相を、論文化してまとめた。 第3に、戦時下の移動演劇について、基礎的な図書を調査し、データベースの作成を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
演劇資料の調査は、やや遅れているが、包括的な「文化」言説についての調査は、対象期間をカバーできており、文学、美術に関する資料調査・分析は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始から1年間で、すでに単著1冊、論文5本を公刊できており、これらの成果をベースとしながら、文学、演劇、美術各領域の調査を、着実に進めていく。
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