研究課題/領域番号 |
23K00335
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 智行 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (50531828)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 中国古典文学 / 翻訳 / 小説 / 明代 / 金瓶梅 / 中国文学 / 古典文学 |
研究開始時の研究の概要 |
四大奇書と称される、中国明代にあらわれた長篇白話小説の四つの傑作のひとつ『金瓶梅』の新訳を完成させることを主目的としている。既に出版した『新訳金瓶梅』上中巻につづいて、下巻の翻訳・注釈作業を進め、詳細な訳注を付した形で、補助事業期間最終年度となる2026年度内に刊行することを目指したい。本作品は今まで完訳されたことがなく、また近年著しく進捗した研究の成果を訳注に反映させるなどして、原作刊行から四百年を過ぎた本作品の真価を、はじめて我が国読書人に対して明らかにしたい。同時に、翻訳を通じて得た知見を学会発表や論文の形にまとめることも進めていきたい。
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研究実績の概要 |
中国明代の白話長篇小説『金瓶梅』の新訳ならびに注釈の下巻部分を刊行することを主目的とする本研究課題につき、初年度にあたる23年度には、それ以前にひきつづき翻訳・注釈作業を行い、24年3月までに翻訳ならびに注釈の初稿(合計約68万字)を完成させた。もっとも古くかつ価値のある版本(詞話本、1617年序刊)にもとづく初の個人完訳となる。翻訳にあたっては、各種の校訂や注釈、その他の先行研究などをできるだけ広く参照し、また訳語の前後での統一にも注意を払いつつ、現在の研究レベルを反映し、本文に忠実でありながらも可読性の高い、研究者にも一般読者にも有用な訳文・注釈となるようつとめた。ひきつづき修正、校正や解説執筆作業に入り、25年以降の出版を目指す。このほか23年度においては、下巻部分に引用される宝巻の試訳や、『金瓶梅』におけるセリフを用いた小説表現を考察した論文を公刊した。とくに後者は翻訳の過程において細部まで作品を精読することによって得られた着想にもとづく論文であり、従来おもにその迫真性といった角度からのみ論じられてきた本作品のセリフについて、複数のセリフにまたがる表現機制が見出される点を初めて指摘した。口頭発表としては、東方国際学者会議のシンポジウムにおいて発表したほか、上海で開かれた『金瓶梅』の諸外国語での翻訳をテーマとしたシンポジウムにも参加し、『金瓶梅』の翻訳や海外における同作品受容に関する報告を聞き、自身も報告を行った。また、高知(オンライン参加)で開かれた翻訳と注釈をめぐる公開講座においては基調講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初においては、24年度にひととおり初稿訳了する予定であったが、23年度末までに訳了することができた。とはいえ計画を大きく前倒しできるほど早く作業できているわけではないので、区分(2)を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
『金瓶梅』新訳は24年3月までに翻訳・注釈の初稿を完成させたが、下巻だけで68万字の大部の書物となるため、全体の翻訳の手直しや注釈の確認などに、今後1年弱を費やすことが見込まれる。その後、校正と平行して解説執筆を行う予定である。25年には下巻を出版できるように努めたい。
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