研究課題/領域番号 |
23K00341
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
遠藤 星希 法政大学, 文学部, 准教授 (30755278)
|
研究分担者 |
大村 和人 徳島大学, 教養教育院, 准教授 (80431881)
高芝 麻子 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (80712744)
大橋 賢一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20451453)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 中興間氣集 / 高仲武 / 大暦詩 / 安史の乱 / 中唐 |
研究開始時の研究の概要 |
安史の乱は盛唐から中唐への重要な文学史的画期とされる。本研究は『中興間気集』の分析により、安史の乱が乱直後の詩壇にどう捉えられていたのかを分析し、安史の乱が文学を如何に変質させたのかを明らかにしようとするものである。同書は盛唐から中唐への移行期に編まれた詞華集としては現存唯一のもので、同時代の詩人たちの作を収め、乱直後の詩壇に対する同時代人の論評を多く載せる点でも他書にない重要な価値を持つ。 盛唐から中唐への文学の変質を同書によって解明する試みは従来ほとんどなされてきていない。本研究は文学が大きく変質していく時代の断絶と継承の諸相を明らかにし、文学史に新しい光を当てる試みになると考えられる。
|
研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題の中核をなす『中興間氣集』(中唐初期に高仲武が同時代の詩人たちの作品を集め、編纂した詩集)所収の詩の訳注作業を中心に行った。 研究代表者1名、研究分担者3名、協力者6名の計10名から成る研究グループを組織し、まず訳注に必要な資料(『中興間氣集』のテキストや注釈書等)を手分けして収集し、グループ内で共有したうえで、学期中は毎月1度の研究会をZoomによるオンラインで開催し、長期休暇中は対面による短期集中型の研究会も開催し、訳注作業を進めた。2024年4月時点で、『中興間氣集』所収の詩135首のうち、全体のほぼ3分の1に当たる38首の訳注の草稿を作成し終えている。これらの詩の大半は、既存の翻訳が日中両国ともに存在しないものであり、初の現代語訳となる点において、重要な意義を有している。成果の一部は、大橋賢一「銭起「闕下贈裴舎人」・「山中寄時校書」訳注」として、『語学文学』62巻(北海道教育大学語学文学会、2023年12月31日)に掲載された。また、『中興間氣集』には、収録する詩の作者に対する編者高仲武の評語も載せられているが、この評語については、全26名の作者のうち、ほぼ半数に当たる12名分の訳注の草稿作成が完了している。 これらの訳注作業と並行して、『中興間氣集』所収の詩の中で安史の乱がどのように捉えられているのか、また高仲武の評語の中で同時代の詩人たちのどのような点が評価の基軸に据えられているのかを検討し、盛唐から中唐への文学の変質を解明するヒントとなり得る作品や評語をピックアップする作業も着実に進行している。こうして洗い出した検討課題をベースにして、2024年度に開催を予定しているシンポジウム(中唐文学会大会)の登壇者の選出とプログラムの素案の作成もすでに完了している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、2023‐2024年度を第一期として区切っている。この第一期の一つ目の目標は、『中興間気集』訳注作成の作業を一通り完了させることであり、二つ目の目標は、中唐の文学と『中興間氣集』との関わりに着目し、2024年度に中唐文学会の大会においてシンポジウムを開催することである。 前者の目標については、『中興間氣集』所収の詩135首のうち、全体のほぼ3分の1に当たる38首の訳注の草稿を作成し終えていること、および全26名の作者に対する高仲武の評語のうち、ほぼ半数に当たる12名分の訳注の草稿作成が完了していることを考慮すると、訳注作業のペースを今後少し上げる必要はあるものの、十分に達成可能な段階にあるとみなすことができる。また、後者の目標については、すでにシンポジウムの登壇者の選出とプログラムの素案の作成が完了しており、十分な見通しを得ている。 こうした状況から、本課題の進捗状況はおおむね順調であると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度も、本研究課題の中核をなすのは『中興間氣集』所収の詩の訳注作業であるが、作業のペースと効率を上げるため、一度の研究会の開催時間を延ばせないか、可能な場合は一か月に2回開催できないか等の方策を研究グループ内で検討する。また、新たにグループに加わることができる研究者がいないか、周囲への声掛けも推進する。 研究成果の一部は、10月に開催予定のシンポジウムで報告を行い、コメンテーターと参加者によるフィードバックを得ることで、研究課題の遂行に生かしていく。また、シンポジウムで報告した内容を論文にして発表することも予定している。
|