研究課題/領域番号 |
23K00343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
中川 諭 立正大学, 文学部, 教授 (20261555)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 三国志演義 / 三国英雄志伝 / 版本 / 簡本 / 三国志伝 |
研究開始時の研究の概要 |
この数年来、世界各地で『三国志演義』版本の新資料が相次いで発見された。これら新資料を中心に『三国志演義』諸本を改めて調べてみると、中川諭著『『三国志演義』版本の研究』(汲古書院、1998年)で述べた結論と異なる事象が存在することが分かった。そこで『三国志演義』の簡本系版本がどのようにして成立したのかを改めて考える必要があるのではないかと考えるに至った。本研究は、新発見資料を中心に、『三国志演義』諸版本を改めて見直して、コンピュータを利用した詳細な本文比較をとおして、『三国志演義』諸本の分化の過程を改めて考察し、従来の研究をさらに発展させようとするものである。
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研究実績の概要 |
本年度の大きな成果としては、まず従来知られていなかった『三国志演義』版本の資料を多数収集することができたことが挙げられる。2023年8月に北京を訪れ、北京在住の蔵書家である張青松氏・張頴傑氏の蔵書を閲覧する機会を得た。張青松氏所蔵の5点、張頴傑氏所蔵の13点を調査したところ、一部既知の版本もあったが、ほとんどは新発見資料であった。両氏の承諾のもと、全ての版本を撮影した。これらは今後本課題の研究を進めるにあたり、第一級の資料となる。 張青松氏・張頴傑氏の蔵書を整理する段階で、版は異にするが同じ行款になっている版本が存在していることが分かった。行款が同じであるということは、それらの版本間は密接な関係にあることでもある。今後研究を進めていくための一つの大きな手がかりを得ることができた。 本課題に関わる研究論文としては、「立正大学図書館蔵『三国志伝』について」(『三國志研究』第十七号)を発表した。立正大学図書館に『三国志演義』の版本が一本存在しているは従来知られていなかった。この本を詳細に調べてみると、天理図書館蔵本と同版であり、天理図本の欠葉を補うことができることが分かった。今後、立正大学本と天理図本ともに「勤有堂本」と呼ぶことにする。勤有堂本は忠正堂本と密接な関係にある一方で、勤有堂本独自の文章もあり、よって勤有堂本と忠正堂本は継承関係にあるのではなく、並列の関係にある。簡本諸本の中で勤有堂本と忠正堂本にのみ見られる文章、あるいは勤有堂本のみに見られる文章は、大半は二十巻繁本系版本の中に見える。だとすると、簡本「志伝グループ」は二十巻繁本系から派生したのではないかと考えられる。 また「十五行二十六字本『三国英雄志伝』」と題する論文を執筆し、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画どおり、本研究課題を進めていく中で特に重要となる資料の収集をすることができた。これら資料を整理していく中で、次年度以降研究を進めていく指針の一つを得ることができた。 関連する研究論文を1本発表し、またそれとは別に年度内に1本の論文を仕上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
『三国英雄志伝』と題する版本の中には、版は異にするが行款を同じにする版本が存在することが分かった。これにより、行款に基づいていくつかのグループ分けができる。このグループごとに版本を検討していく。またこれらの行款に基づくグループ分けには入らない版本も多数存在する。これらについても、『三国英雄志伝』の中でどのように位置づけられるのかを考えていく。 版本を比較するには、従来どおり周文業氏が開発された「版本比較プログラム」を使用する。
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