研究課題/領域番号 |
23K00348
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
阿部 範之 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (20434681)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 中国映画 / 台湾映画 / 香港映画 / 華語圏映画 / 映画産業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、20世紀末の時点で衰退傾向にあり、2001年のWTO加盟によって壊滅的な被害を受けることが懸念されていた中国の映画産業が、わずかな期間で世界有数の映画産業へと急激に変化を遂げたことに注目し、2000年前後から2020年前後までを主な研究対象とした上で、特に、中国映画と関係が深く、同様の課題に直面していた台湾および香港の映画産業との関係を明らかにする。具体的には、中国、香港、台湾の映画産業について、産業構造全体の傾向、さらにそれをとりまく政策、国際政治や経済の動向の影響について分析を行いながら、相互の関係性について検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は三年間で、およそ2000年から2020年までの中国、台湾、香港の各映画産業の動向を整理し、考察を行った上で、最終的に相互の関係についてその全体像を提示する予定のものであり、現段階では、中国、台湾、香港の各映画産業の動向の整理を順次進めている。 中国については、中華人民共和国建国以降のプロパガンダ映画の系譜について考察を行ったほか、現在までに至る中国映画の特色に関して簡潔な考察を行った。これらについては今後順次発表していく予定である。 台湾については、現代の台湾映画界を代表する鍾孟宏監督に関して研究を行い、論文として発表した(「グローバル化する東アジア映画と鍾孟宏監督作の中の家族」『中国21』Vol.59)。鍾孟宏は2006年に長編映画監督デビューを果たして以降、台湾の家族を題材に多くのフィルムを送り出してきた人物で、台湾内では評価が高い。この論文では、彼のフィルムについて、韓国のポン・ジュノ監督作品などを比較対象にしながらその特徴を分析するとともに、21世紀における台湾映画の動向にも言及した。そのほか、台湾映画の歴史において重要な台湾ニューシネマについても分析を行い、鍾孟宏以上に世界的に知られる侯孝賢監督のフィルムに関する講演を行った(「台湾映画の中の日本家屋―1980年代のニューシネマが見出した庶民の歴史」、京都高齢者大学校講座「東アジア(日中韓)の文化芸術」)。 香港については特に2010年代以降の動向に注目し、資料の閲覧や整理を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾映画に関して論文を公刊したほか、今後発表を予定している中国映画に関する論考を執筆する中で、2020年ごろまでに至る台湾、中国の映画産業の展開についての基礎的な整理が進んだことが理由として挙げられる。また主に中国に関して、2007年から2022年までの『中国電影産業研究報告』など、多くの資料を入手できたため、今後それらを活用することで、より着実な成果が挙げられることも期待できる。香港に関しては、資料収集および調査が十分に進んでいないが、近年話題となっている香港の若手監督たちのフィルムを多く鑑賞する機会があり、その分析をもとに新しい視座が加わったことが研究の進展に寄与している。 以上のように、突発的な大きなトラブルなどはなく進行しているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進のために、以下のような方策を想定している。 第一に、香港の映画産業を軸とした分析に尽力する。特に、1990年代なども含めた香港の映画産業の変遷をまとめながら、映画市場および製作状況についてのデータの収集、および映画政策の整理などを中心的に進めていく。 台湾については、引き続き映画市場や製作状況について調査を進めながら、特に中国との合作映画や台湾映画の中国市場での興行成績、また台湾の映画人の中国進出、および香港映画界との関係性の変化などについて調査および検討を加えていく。 中国については、引き続き映画市場・製作状況にについて調査を進めながら、香港および台湾映画界との連携のあり方について検討を加えていく。
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