研究課題/領域番号 |
23K00358
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
新井 英永 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (00212598)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ジャック・ロンドン / ハワイ・モロカイ島 / ハンセン病 / メニッポス的諷刺 / ミハエル・バフチン / ノースロップ・フライ / D・H・ロレンス / 精神分析 / モダニズム / 環太平洋 / 植民地主義 / 帝国主義 |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカやインドに比べかつては低調であった環太平洋を扱う英米モダニズム期文学研究も、近年はポストコロニアル批評の浸透やアジアへの注目の高まりを背景に、大きな進展をみせてきている。本研究はこうした趨勢を受け、19世紀末から20世紀前半にかけての広義のモダニズム時代における英米文学が、欧米の植民地主義・帝国主義とハンセン病の関係をどのように表象してきたのかを、文学・思想史的に解明することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
ジャック・ロンドンのハワイを舞台とする「ハンセン病三部作」のうちの1編である短編小説「さよなら、ジャック」(1909) に関する論文の加筆修正を行なった。この論文は「メニッポス的諷刺としてのジャック・ロンドン「さよなら、ジャック」」であり、アメリカ帝国主義とハンセン病問題の文脈に文学ジャンルの観点を加え、ロンドンのこの短編について考察したものである。具体的には、ミハエル・バフチンやノースロップ・フライ等のジャンル論を援用し、「さよなら、ジャック」が「メニッポス的諷刺」のジャンルに属することを論じ、この短編においてその諷刺がどのようになされているかを明らかにした。本論文は、掲載を目指す論文集の編集委員会による査読をすでに経ており、論文集は早ければ令和6(2024)年度中、遅くとも令和7(2025)年度中に刊行される予定である。 また、ジャック・ロンドン「ハンセン病三部作」のうちのもう1編「コナの保安官」(1909)についての本格的な調査を開始した。 一方、これまで研究蓄積のあるD・H・ロレンスを比較のための座標軸として設定し続けることが必要であると判断し、D. H. Lawrence Review (USA) の依頼を受け、John Turner, D. H. Lawrence and Psychoanalysis (Routledge, 2020) の書評を執筆し完成させた。この書評は、編集上や表現上の修正を経て、本年度のD. H. Lawrence Review (Volume 45 Numbers 1-2) に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ジャック・ロンドン「ハンセン病三部作」のうちの1編「コナの保安官」(1909)に関する論文の執筆を開始したかったところであるが、まだそのための調査が十分でないのが現状である。「さよなら、ジャック」に関する論文やD・H・ロレンスに関する書評の修正や校正を優先したという事情もある。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、本年度6月開催予定の日本ロレンス協会大会におけるシンポジウム「日本における初期のロレンス受容をめぐって」での報告に向けた準備を行ない、大会後その内容を必要に応じて論文等にまとめる。その後、ジャック・ロンドン「コナの保安官」(1909)に関する調査を再開し、論文の執筆に着手したい。
|