研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ヴィクトリア朝初期から20世紀初頭にかけてのイギリス小説における法廷描写を分析対象とし、劇場空間としての法廷を満たす傍聴者たちが、法的正義と連帯しながらも、大衆化が進行する当時の小説読者と重なり合って見えてくることに着目する。テクストが生来的に内包する私的関心が、法という公的次元とどのように交わり合っているかを考察することで、最終的にモダニズムへと至る小説の語りの発展が、大衆の影響力の増大、さらには読者の大衆化と密接に結びついたものであることを立証する。