研究課題/領域番号 |
23K00394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 潤美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (70222726)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 郊外表象 / イギリス文化 / 階級 / ミドル・クラス / 郊外住宅地 / 階級表象 / ナショナル・アイデンティティ表象 |
研究開始時の研究の概要 |
20世紀以降の英国の「郊外」の表象に目を向け、それがジェントリフィケーションの過程を経て、実態としては、今や日本やアメリカの「郊外」表象に見られるような「理想の住宅地」という要素を得ながらも、イメージとステレオタイプにおいては、19世紀後半に定着したロウワー・ミドル・クラスの要素が根強く残っているという、英国における郊外表象のパラドックスに焦点をあて、小説、戯曲、随筆などの文学作品、そして雑誌、映画等の文化的な媒体をとりあげて分析する。英国における「郊外」の表象の考察を通して、英国の文学、文化研究のあらゆる分野において極めて重要であり、避けて通ることができない「階級意識」の分析と解明を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究では特に20世紀以降の英国の「郊外」の表象に目を向け、それがジェントリフィケーションの過程を経て、実態としては、今や日本やアメリカの「郊外」表象に見られるような「理想の住宅地」という要素を得ながらも、そのイメージとステレオタイプにおいては、19世紀後半に定着したロウワー・ミドル・クラスの要素が根強く残っているという、英国における郊外表象のパラドックスに焦点をあて、小説、戯曲、随筆などの文学作品、そして雑誌、映画等の文化的な媒体をとりあげて分析するという研究である。2023年度においてはまず、英国の「郊外」を扱った19世紀末および20世紀以降の詩、小説、演劇、評論、雑誌、そして新聞記事および基本的研究書のリストを作成し、テクストの分析を行った。特にいわゆる「ミドルブラウ」ともカテゴライズされる小説に焦点をあて、「郊外」という場所がいかに「階級」、特に「ロウワー・ミドル・クラス」との関連において、揶揄や嘲笑のまととなりながらも、一方では「理想の住宅地」というイメージが定着しつつあるという矛盾が、イギリス文化表象の重要な部分を占めていることの確認を行った。また、日本における「郊外住宅地」の実態とイメージの研究にも着手し、特に小林一三の郊外住宅構想についての資料を考察した。研究成果については随時研究会等で発表し、加筆、修正を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度においても、円高等の経済的理由により、イギリスのBritish Libraryで直接新聞記事、雑誌記事など、日本では入手が難しい資料を集めることができなかったが、その他の一次資料、新しい二次資料については、特に問題なく入手することができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き20世紀の郊外表象に関する調査を続けると共に、さらに21世紀の英国の詩、小説、演劇、評論、雑誌、新聞記事、映像作品および基本的研究書のリストを作成し、分析する。さらに、アメリカと日本における「郊外」の表象を扱った詩、小説、演劇、評論、雑誌、そして新聞記事および基本的研究書のリストを作成し、分析にも着手する。
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