研究課題/領域番号 |
23K00398
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣田 篤彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (40292718)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 英文学 / Shakespeare / Myth / Bible / シェイクスピア / 神話 / 聖書 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古典古代と並んで初期近代ヨーロッパ文化の主要な基盤となっていたキリスト教に着目し、シェイクスピアの戯曲中に見られる聖書中の挿話と古代神話への言及を併せて考察することで、両者の重層性とその相互作用を分析し、これを初期近代英国文化の中に位置付けることを目指すものである。研究の遂行に当たっては、過去の研究において積み上げてきた国際共同研究の実績を基盤とする国際的なリサーチや意見交換を実施し、また国際学会において発表を行うことで研究成果について国際的な批評を受けるとともに、その発信を行う。
|
研究実績の概要 |
本年度は研究初年度として、基礎的なテクスト分析と資料調査・収集を実施すると共に、来年度に予定している研究成果の学会発表の準備を開始した。併せて研究を遂行する中で得られた知見を、論文(刊行済み)ならびに事典の項目執筆(出版決定済み)に活用した。その概要は以下の3点にまとめられる。 1)研究計画に沿ってThe Merchant of VeniceとThe Merry Wives of Windsorにおける古典古代神話と聖書への言及のクロスレファレンスの検討を進めた。成果発表を視野に入れ、特にThe Merchant of Veniceの法廷場面において小道具として舞台上で使われるナイフと天秤の象徴的意味について、古代ローマにおけるJustitia、旧約聖書のダニエル記の記述、金貸しというShylockの職業といった側面から関連諸テクストの考察を進め、セミナーペイパーの作成を開始した。 2)Cahiers Elisabethains (Volume 111 Issue 1, July 2023)の特集Hot Shakespeare, Cool Japanに招待され、Forewordとして 'Japan and Shakespeare: Acceptance and transformations in the twenty-first century'を寄稿した。この執筆に際しては本研究によって得られた知見の一部を基礎としている。 3)Circe, Jason, Laertesの三項目の執筆を担当した Katherine Heavey and Janice Valls-Russel, eds. , Shakespeare’s Classical Mythology: A Dictionary (Bloomsbury, 2024)への執筆者契約が完了し、2024年度に出版されることが決定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年計画の初年度である本年度は、当初計画の通りThe Merchant of VeniceとThe Merry Wives of Windsorに関する分析を並行して進め、それぞれにおける古典古代の神話と聖書の扱われ方の重層性を中心に考察した。 その過程で浮かび上がってきたいくつかの問題について2023年11月にはNational Library of Ireland、2024年3月にはBritish Libraryでリサーチを行なった。前者ではアイルランドとカトリシズム、後者ではThe Merchant of Veniceを書く際にShakespeareが意識していた、Christopher Marlowe, The Jew of MaltaのFirst Quartoについて集中的に一次文献を調査し、次年度以降の研究の参考となる資料を収集した。 併せて、やはり計画通り、2024年7月に開催されるInternational Shakespeare Conferenceにおいて研究成果の一部を発表するための準備を始めたが、ここにおいてはThe Merchant of Veniceの法廷場面における、旧約聖書の預言者の一人であるDanielへの言及に焦点を当てた小論文の用意を進めている。本学会は招待者のみが参加できるが、本年度中に招待の通知を受け、渡航の準備を開始することが出来ている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画2年目である2024年度は、上記のとおり、International Shakespeare Conferenceにおける研究成果発表が年度前半の活動の中心となる。学会後にはそこで得られた知見を基にした論文の改訂作業を中心に研究を継続する。本学会出席に併せたイギリス渡航においては、類似の関心を共有する研究者たちと、2026年に開催され、本研究の最終的な成果の一部を発表する予定であるWorld Shakespeare Congressに関する意見交換を行うことにしている。さらに、本年度に実施したBritish Libraryにおけるリサーチを継続する。 2025年度以降の研究については本年度の研究活動の結果を基に調整する可能性があるが、最終年度における研究の総括を視野に入れながら、既に国際共同研究の実績のある研究者との意見交換、打ち合わせを行いつつ、当初計画通りにThe Merchant of Venice, The Merry Wives of Windsor, Richard IIそれぞれにおける古代神話と聖書の相互関係を探求していく。
|