研究課題/領域番号 |
23K00407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大串 尚代 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70327683)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ドメスティシティ / アメリカ女性作家 / マリリン・ロビンソン / キャサリン・マリア・セジウィック / シンパシー / 移動と文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アメリカ文学における女性作家の作品を取り上げ、その意義を探るものである。20世紀中葉に完成されたアメリカ文学史から排除されてきた19世紀女性作家たちは、同時代に多くの読者を獲得したにもかかわらず、その後長らく文学的評価を得られないままであった。そうした女性作家たちの作品を今読み直すことで、文学の価値を問い直すとともに、女性作家たちの描いたアメリカをひもとくことが期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、アメリカ女性文学におけるドメスティシティ(家庭性)とシンパシーとの関係について中心に研究を進めた。具体的には、19世紀に出版されたキャサリン・マリア・セジウィックの『ニューイングランド物語』(1822年)と、20世紀の作品であるマリリン・ロビンソンの『ハウスキーピング』(1980年)に関する研究に結実し、それぞれ研究発表を行った。アメリカにおける公私領域論がアレクシス・ド・トクヴィルの著作によって19世紀初頭に表された際、トクヴィルは女性の領域、すなわち「私」のことを「静かな家事の世界」「狭い枠」と表現している。ここでは動的な公の領域と静的な私の領域が分割され比較されており、そうした考え方は長く続いてきたと思われるが、しかしながらドメスティックな場を、社会から切り離された静かな場とそれほどまでに当然に見なすことができるのだろうか。本年度に申請者が行った研究では、家庭を描いてきた「家庭小説」が、いかに家庭を維持することが難しいのかを描いてきたかを明らかにした。その際、家庭におけるシンパシーが果たす役割についてを検討した。 セジウィックの『ニューイングランド物語』は、アメリカ文学史において家庭小説と呼ばれるジャンルの最初期の作品と言われているが、本作品では家庭は「嵐が吹き荒れる場」として表現されており、血縁によってのみ結ばれている家族のメンバーに共感が欠如していることが示される。公私の領域論をたくみに避けるようにして、本作では家族や家庭のあり方をむしろ外に広げ、血縁とは異なる「家族」が描かれていることを考察した。 ロビンソンの小説『ハウスキーピング』は、「家事」と「家を維持すること」のふたつの意味がタイトルに込められており、「家」を維持することと、家庭を持つ(家族で暮らす)ことが区別されている。ここから、20世紀後半におけるアメリカの「家族」と共感の問題を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、オンラインデータベースなどを利用し、資料の収集が順調にいっており、また研究成果の発表をする機会にも恵まれていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、19世紀女性作家における「規範の逸脱」と「スピリチュアリティ」の二点に焦点をしぼり、研究調査および研究成果の発表に注力をしたいと考えている。具体的には、19世紀後半に活躍した作家ヘレン・ハント・ジャクソンの『ラモーナ』およびレベッカ・ハーディング・デイヴィス『ウァリック医師の娘たち』、エリザベス・フェルプス『半ば開いた門』らの作品を考察する。
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