研究課題/領域番号 |
23K00416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
河原 真也 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (80454924)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | アイルランド文学 / アイルランド内戦 / Sebastian Barry / James Joyce / アイルランド小説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はアイルランド内戦という、これまで独立運動の陰に隠れてきた歴史的事件を、現代作家がどのように描いてきたのかを考察する試みである。この内戦と前後して、アイルランドはカトリック信仰を絶対とする価値観を国の礎とした結果、社会は極度に保守化し、多くの文人たちがこの国を離れることとなった。本研究では、イースター蜂起や移民など、アイルランドの特殊事情と関連させながら、英国による「支配/被支配」といった二項対立的な視点でアイルランドにおける様々な事象をとらえる思考から脱却し、現代に生きる人びとの内戦への記憶を、20世紀以降のアイルランド小説を通して読み解く。
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研究実績の概要 |
2023年年度は、アイルランド内戦を扱った、アイルランド人作家による小説及び戯曲を選定し、それらの作品において内戦がどう描写されているか探ると同時に、特に小説作品の背景にとなっている社会状況を歴史的、社会的に検証する作業を中心に進めた。特に焦点をあてたのは、1920~40年代に出版されたジェイムズ・ジョイス(James Joyce)、ショーン・オフェイロン(Sean O'Faolain)、フランク・オコナー(Frank O'Connor)らの小説作品である。そしてこれらの作品が出版された時期のアイルランド史を確認しながら、いくつかの鍵となる出来事を複数の歴史的文献から取り上げ、アイルランド内戦とどうリンクしていたのか、細かく検証する作業を行った。その際、複数のアイルランドの定期刊行物が検索できるデータベースである"Irish News Archive"を用いて、内戦及び関連する出来事がどのように報道されていたかも確認した。 また、2024年度以降に対象とする予定であった、アイルランド内戦期を舞台とした、21世紀以降に出版された小説のうち、セバスチャン・バリー(Sebastian Barry)のみを対象として、具体的な作品読解とそこでの内戦表象に対する考察も行った。その成果の一部は、「セバスチャアン・バリーとアイルランド内戦前後の社会―_The Secret Scripture_(2008)を中心に」というタイトルで、第51回関西アイルランド研究会例会(於大阪経済大学、2024年03月)において研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本務校においてある重い業務の責任者を務めたこともあり、予定通りに研究を進めることが出来ない部分も生じたが、長期休暇期間中、予定していた資料の選定と定期刊行物の検証作業に集中して従事することができたことが主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、内戦を扱ったアイルランド小説の選定作業をさらに進めていくと同時に、アイルランド演劇にも対象を広げていく予定である。加えて、内戦期のアイルランド社会(特に1920年頃から1930年代半ばまで)を深掘りしていくことを目標に、20世紀前半のアイルランド史を扱った文献解読を進め、そこで扱われているいくつかのトピックを抽出し、アイルランド及びイギリスの定期刊行物を活用しながら、アイルランドにおける内戦のとらえられ方の変遷を探る。 併せて、昨年度末に発表を行ったセバスチャン・バリーの_The Secret Scripture_ついての研究発表を活字化していくが、同時に内戦を扱った他のアイルランド小説についての考察も進めていく。
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