研究課題/領域番号 |
23K00419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
尾方 一郎 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (80242080)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | トーマス・マン / 政治思想 / 戦後ヨーロッパ秩序 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第二次世界大戦後の世界秩序、特にヨーロッパ秩序のあり方と新たなドイツ国家の体制が固まっていく時期に、トーマス・マンが抱いた世界秩序に関する思想と、歴史的現実にたいする彼の批判を、著作のみならず、手紙、日記なども比較する実証的作業を経て明らかにしようとする。 大戦中から終戦直後、ドイツを代表する作家と考えられたマンの政治的注目度は大きかったが、ドイツ戦後処理の批判が猛反発を受けるなどの影響もあり、当該期の政治論は低評価が続いている。本研究はマンの方法論について理解を深めた上、当時の手紙の読み込みなど実証的な作業も加えてより精度の高い読解を行い、その思想の理解を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は、第二次世界大戦後の世界秩序、特にヨーロッパ秩序のあり方と新たなドイツ国家の体制が固まっていく時期に、当時ドイツ文学界の代表的存在と目されていたトーマス・マンが抱いた世界秩序に関する思想と、現実に対する彼の批判を、著作のみならず、手紙、日記なども比較する実証的作業を経て明らかにすることを目的としている。 2023 年度は研修年となっているため、前半に国内で調査を進めて現地調査の必要な手紙等を絞り込んだ後で、9月下旬から12月上旬にかけてドイツ・ミュンヘンに滞在し、チューリッヒのトーマス・マン・アルヒーフ(TMA)、マールバハの文学アルヒーフ、そしてコブレンツの連邦文書館などにも赴いて、関連する手紙等を収集し、またミュンヘン大学(LMU)やバイエルン州立図書館などで当時の政治状況に関わる雑誌等の記事を収集し、コンテクストの十分な理解のもとに読み解いていく作業を行うこととしていたが、各地に訪問を行って資料収集を行う計画については、概ね達成できた。 TMA、マールバハの文学アルヒーフにおいて複写等が禁止されている資料については、筆写するほか手段がなく、必要とするすべての資料を収集することはできなかったが、当該館の担当者との関係の構築により、一部については今後部分的に引用するための資料参照などについて便宜を図っていただける見通しもたった。 また本研究テーマに関して、一橋大学言語社会研究科の『言語社会』(2024年3月)に「森川俊夫/トーマス・マン往復書簡 : 翻訳と解題(二) 」を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した通り、2023年度に予定した事項については、資料閲覧上の制約にもとづく点を除いては、おおむね計画どおりに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2023年度に収集した資料を用いながら、この時期トーマス・マンが用いている諸政治的概念に盛り込まれている内容を検討し、マンの戦後秩序に関する思想について見取り図を描くこと、そしてマンが直面した状況と、それへの対応という形でその政治的発言を読み直し、本研究で解明をはかろうとする彼の政治思想について一貫性のある形での解釈を示すことを予定しており、この予定に基づいて研究を進めたい。
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