研究課題/領域番号 |
23K00424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
浜本 裕美 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (30737870)
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研究分担者 |
河島 思朗 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80734805)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ホメーロス / 古代ギリシア文学 / 合唱抒情詩 / ギリシア悲劇 / 叙事詩 / ウェルギリウス / ラテン文学 / 西洋古典学 / 抒情詩 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の最終的な目的は、ギリシア・ラテン文学からなる西洋古典文学作品と「場」の関係を明らかにし、作品を再解釈するとともに、「場」との関連においてはじめて露わになる作品の社会的意義を解明することにある。具体的には①聴衆に向けて歌われ語られた「ホメロス叙事詩」と紀元前5世記アテナイで上演された「ギリシア悲劇」を考察の対象として、上演の場がもたらす効果を前提に作品を再解釈する。②ギリシア文学を受け継ぎ、その性質を強く意識するラテン文学作品の考察を通じて、場とジャンルの関係を明らかにする。以上の考察を通じて、従来の研究で考えられていた以上に、西洋古典文学作品が場と密接な関連を有することを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は西洋古典文学作品と「場」の関連を包括的に検討し、その研究基盤を構築することを目的とする。幅広いジャンルを含む西洋古典作品において、作品とその上演の場、また作品内に表象される場のあり方はさまざまであり、作品と「場」の関連について理解を深めることは、個々の作品理解、またその作品が属するジャンル理解、そしてそれを受容する社会の理解へと通じている。また、個々具体的な作品の理解を通じて、作品と「場」の関連を理解するには、問題設定の柔軟な検討と作品の精緻な読解が欠かせない。 研究の初年度にあたる本年度は、作品と「場」の関連を考察する際に必要な問題設定を検討すると同時に、研究対象となる作品の先行研究を調査、収集し、注釈者及び研究書を参照し精緻な読解を進めた上で、研究成果の一端を公刊した。概ね当初の計画に従って、ギリシア・ローマの叙事詩を中心にしながら、ギリシアの合唱抒情詩や悲劇も視野に含めつつ研究を進めた。 研究代表者の浜本は、特にジャンルの違いを意識しながら作品と「場」の関係について考察を深め、論文を発表した。具体的には、主にホメロス叙事詩で用いられる1つのエピテトン(枕詞)に注目し、叙事詩、ホメロス賛歌、合唱抒情詩や悲劇といった分野を通じての用例と先行研究を精査した。その過程で、当該のエピテトンの新たな解釈を提示するとともに、合唱抒情詩や悲劇というジャンル特有の「場」との結びつきを指摘した。分担者の河島は、叙事詩における場に焦点を当てながら、ギリシアの叙事詩とローマの叙事詩のつながりについて考察した。具体的には、古代ギリシアの叙事詩ホメロス『イリアス』とウェルギリウス『アエネーイス』を研究対象とした。その成果の一端として、『イリアス』についての論文と『アエネーイス』の最新の研究書に関する書評を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように、作品と「場」の関連についてさらなる問題の精緻化を検討しながら、作品研究を進めた。研究対象とする作品の先行研究の調査、収集を行い、合唱抒情詩やギリシア悲劇作品にも触れつつギリシアの叙事詩とローマの叙事詩について、作品理解の深化や読解、解釈に取り組んだ結果、一定の研究成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度同様、「場」を論じる際の問題設定を検討しながら、個々の作品研究を進め公刊を目指していく。
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