研究課題
基盤研究(C)
本研究は従来まで考慮されずにいた、近代ドイツ語圏の指導的な俳優を対象に、その民主主義思想の発展と、階級や宗教や文化の差異を超えた批判的な演劇公共圏の創出を検証する。また、同時代の女性権利拡大に影響した女性俳優の政治性に着目し、体制から排除された女性の人権と教育と地位向上への尽力を検討する。さらに検閲制度に対して、俳優が公共の場で実践した演劇的で非暴力的な「真実を語る」抗議を検討し、その背後の民主主義思想を検証する。そのことで多文化主義やコスモポリタニズムを体現する中間的存在の俳優が、市民の自律的対話を促し、大衆の政治参加や民主主義アイデンティティー形成に寄与した現象を解明する。