研究課題
基盤研究(C)
1900~10年代のロシア文化においては形而上的音楽論が隆盛を極め、亡命文化においても音楽思想は重要であった。本研究はその中でこれまで十分に解明されていないエミリィとニコライ二人のメトネル兄弟の音楽思想を研究対象とし、1900~1910年代、そして亡命後まで跡付け、その内容を他の思想家や文化人の活動や思想との関連で意味づけることを目的とする。それによって、ロシア象徴主義やイヴァン・イリインの思想を始めとする芸術思想の諸問題やロシア文化のナショナル・アイデンティティの問題を再考し、さらにエミリィが深く関わったユング心理学がロシア文化に与えた影響等についても新たな知見がもたらされると期待される。