研究課題/領域番号 |
23K00449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
加藤 有子 名古屋外国語大学, 世界教養学部, 教授 (90583170)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ホロコースト / カラー写真 / ゲットー / ポーランド文学 / 記憶 / プロパガンダ / 博物館 / リヴィウ・ポグロム / 第二次世界大戦 / 原爆 / 非視覚的記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
1980年代後半以降、ナチ占領下のポーランドやウクライナで撮影されたホロコースト期のカラー写真の発見が相次いでいる。人口知能による白黒写真のカラー化も含め、時間的な遅れとともに現れたカラーイメージは、戦中の残虐行為に対する私たちの認識をどのように変えるのか。加えて、視覚中心に構築されてきた出来事の語りと社会的記憶に対し、周縁化されてきた匂いや音の感覚的記憶はどのような役割を果たしているのか。本研究は、体験者、受容者双方にとってのリアリティ概念の変容を軸に、ホロコーストやヒロシマ・ナガサキなど戦時のカラー写真と受容、文学や証言に現れる非視覚的記憶の表現の分析を行う。
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研究実績の概要 |
7月および1月~3月の春休みに、ポーランドとアメリカに渡航し、研究者と意見交換したほか、資料収集を進めた。ポーランドではワルシャワ・ゲットーとウーチ・ゲットーの写真関連資料、証言文学の資料収集・調査を行った。ホロコースト関連の写真は近年、ポーランドでも注目されており、ポーランド・ユダヤ史博物館やワルシャワ市博物館で関連の写真展を見学し、最新研究資料を入手した。ワルシャワの現代美術館では、リヴィウ・ポグロムの写真を応用した絵画作品であるニキータ・カダンの《ポグロム》シリーズを実地調査した。アメリカでは国会議事堂図書館、イェール大学図書館でナチのプロパガンダ・グラフ雑誌の『シグナル』ドイツ語版を調査したが、マイクロフィルム化されて白黒で保存された号が多く、カラー写真の利用が調査できなかったため、引き続き、他言語版も含め、ドイツなどで調査を行う。USホロコースト記念博物館の常設展が変更され、本研究に関わるカラー写真とカラー映像が多用されるようになったため、写真や視聴覚メディアの利用を中心に調査を行い、ホロコースト教育やホロコーストの記憶におけるカラー写真の役割を検討した。同博物館ホロコースト応用研究マンデルセンターでは研究員・司書と意見交換したほか、資料館であるシャペルセンターにて、証言インタビューや写真関連資料を調査した。7月には一般向けに、愛知県名古屋市の映画館で、ホロコースト関連映画『シモーヌ』について上映後トークを行った。戦争をめぐる語りの調査の一環として、知覧特攻平和会館を見学した。今後、海外の戦争関連博物館との比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1か月のポーランド渡航、アメリカ渡航をそれぞれ確保できたことで、資料収集を計画的に進めることができた。現地の研究者とも集中的に会い、意見交換や共同プロジェクトの打ち合わせが進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
これまでポーランド、アメリカのホロコースト研究機関でアクセスできなかった資料をドイツで調査する。これまでのホロコースト写真の研究を本にまとめるべく、執筆を開始する。
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