研究課題/領域番号 |
23K00461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
堀 まどか 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20586341)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 佐々木指月 / 禅仏教 / ニューヨーク第一禅堂 / 移民地文芸 / 野口米次郎 / モダニズム文芸 / 文化交渉史 / 詩と宗教 / 比較文化 / モダニズム芸術 / アメリカ禅 / 宗教と文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、禅を体現する表現を模索した佐々木指月の文芸を、①アメリカのモダニズム文芸と日本近代文学と移民地文学の3つの観点から分析して、総合的に再検証・再評価することである。これは文化接触と文化適応の観点から文学表現の背景と位相をそれぞれの環境のなかで探ることである。さらに彼の文芸の1945年以降のアメリカの美術や文学への伝播と影響関係をあきらかにすることにもつながる。そして②佐々木指月が1930年に設立したニューヨークの第一禅堂において、幾つかの世代を経て受け継がれてきた基礎資料を保存・整備し、分析して、デジタル化のための準備作業をおこなう。
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研究実績の概要 |
(1)ニューヨークの第一禅堂 (First Zen Institute, 旧称The Buddhist Society of America)を訪問し、所蔵する資料調査をおこない、何がどこにあるのかを記載したマッピングを作成した。従来、禅堂にどのような資料があるのか、全くわかっていなかったためである。マッピング作成にあたり、資料の一部の撮影をおこなった。整理・分類の方法に関しては、第一禅堂の出版委員メンバーと何度も話し合いを重ね、1950年代以降から90年代にかけて弟子たちが整理してきた方法や作業内容を変えない形で、そのまま保存・整理することを第一義とすることを決定し、承認された。さらには、弟子たちや現在の第一禅堂に居住するメンバーについてインタビュー調査をおこなった。(2023 年6月ー9月、2024年3月) (2)マッピング資料のデジタル化公開の準備をすすめることをめざして作業し、現段階でのマッピングについてはホームページ上で研究者向けに公開することを完了した。(2024年3月末)。ただし、これはあくまでも第一版ということであり、今後少しづつ改良版・増補版を作成し、リニューアルしていくことになる。 (3)資料整理に並行して、ニューヨーク公共図書館や国内の図書館において、アメリカにおける禅仏教の布教者と、新興宗教・神秘主義者 たちの活動や交友関係を調査した。日本語による文献と同時代文壇人の書簡類の調査もおこなった。 (4)本研究の現段階での成果報告として、学会発表や執筆活動をおこなった。関連する国内外の研究者と積極的に面談し、意見交換や情報交換をおこなった。 (5)ニューヨークの第一禅堂のプレジデントが編纂した佐々木指月の自伝(英語版)の翻訳プロジェクトを共訳で開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニューヨークの第一禅堂 (First Zen Institute of America)が所蔵する資料は、予想された以上に多量であった。また、経年変化で極度に劣化していたため、資料のとり扱いには厳重な注意が必要となり、ひとつひとつのデータ撮影には時間がかかった。全てを撮影することはできなかった。ただし、今年度は、何がどこにあるかのマッピング資料を作成して、完全な形ではないにせよ、それを公式に公開できたことは大きな成果であった。現地の出版委員会のメンバーとの打ち合わせも円滑にすすんでおり、今後の資料調査や研究活動に対する協力体制もとりつけることができている。
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今後の研究の推進方策 |
調査やマッピング作成の段階で、佐々木指月が交渉した人物群などについて新情報を得ることができた。今後は、ニューヨーク公共図書館やその他の機関なども利用しながら、それら同時代の交友関係に関する調査にも踏み込んで行っていく予定である。また、ニューヨークや日本国内で、遺族や研究者などの新しい関係者と知り合うことができた。彼らに対するインタビュー調査も、今後進めていく必要がある。本研究は、すでに文学研究や資料データベース化の枠組みを越えて、領域横断的な研究に展開しつつある。来年度以降は、国際学会での発表や論文発表なども増やして、本研究の重要性を内外に問う計画である。
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