研究課題/領域番号 |
23K00462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
佐藤 美希 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (50507209)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2027年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 翻訳 / 翻案 / アダプテーション / 外国文学受容 / トランスレーション・スタディーズ / 翻訳学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、21世紀に入ってから増加していると考えられる翻案、アダプテーション、重訳、ローカリゼーション、トランスクリエーション、二次創作、模倣などを、「翻訳に隣接するテクスト群」と呼び、それらを踏まえた新たな〈翻訳〉概念の構築を試みる。 「翻訳に隣接するテクスト群」の研究は、欧米や中国語圏からの研究成果はすでにあるものの、日本の状況に即した研究は、アダプテーション研究を除いてはまだ本格的になされていない。変容を続けている現代日本の外国文学受容の実相を正確に把握するために、現在の〈翻訳〉概念の検討と新たな定義を目的とする新しい試みである。
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研究実績の概要 |
本研究は、起点テクスト(原文)を目標テクスト(訳文)に訳出するという従来の一般的な翻訳についての認識では把握しきれない異文化テクストの様々な受容形態(本研究では「翻訳に隣接するテクスト群」と呼ぶ)の考察を通して、新たな〈翻訳〉の定義を検討するものである。 2023年度は、研究実施計画に基づき、2000年代以降の翻訳学の研究動向の調査と外国文学受容形態の多様化について考察を進めた。翻訳学の研究動向や本研究に関わる概念については、翻訳者の認識も参考にできるよう、主として翻訳者が多く参加する英日・日英翻訳国際会議(IJET 31)において研究発表を行い、研究の視点だけではなく翻訳実践の立場からの有益なフィードバックを得ることができた。一方、具体的なテクスト分析としては、様々なメディア横断型の翻案(アダプテーション)やST-TTの関係性が複雑な興味深い事例として、村上春樹による短編作品のバンドデシネへの翻案/アダプテーションとその外国語訳、およびイラストレーションのついたアートブックとその翻訳などに着目した。まず読者による書評の分析から取り組み、いわゆる一般的な「文学作品の翻訳」と、それとは異なる「翻訳に隣接するテクスト群」に対する読者の翻訳観/翻案観を比較することで、村上春樹作品という限定的な分析ではあるものの、読者が一般的に持っている翻訳観/翻案観に変化が見られるかどうかを探っている。この際、同じ作品の日本・英米・フランスの書評を比較することで、読者による文学翻訳とメディア横断型アダプテ-ションへの評価基準が重複する側面と異なる側面の両方を多角的な把握につながっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に即して考察を進めることができている。一件の研究発表を行ったことに加え、2023年度から進めている具体的なテクストの分析について2024年5月の国際シンポジウムおよび6月の国際学会で研究発表する予定であり、その発表をもとに24年度中に論文を執筆することも見込める。以上のように、概ね順調に研究を進めていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究内容について、2024年度に2度の研究発表を実施し、そこでのフィードバックを得て、論文を年度内に執筆する予定である。 また、今後も研究計画に即して、a) 翻訳や「隣接するテクスト群」の出版動向の調査、b) 出版社・翻訳者(製作者)・読者によるパラテクストの分析、c) 実際の翻訳や「隣接するテクスト群」の分析、を進め、翻訳や「翻訳に隣接するテクスト群」に対する認識の変容をたどる考察を進める。
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