現代標準中国語において、空間の対立軸を指す形態素を構成要素とする時間詞には、2つの系列が見られる。一つは、水平軸の“前/后(後)”を用いる系列(H系)、いま一つは、垂直軸の“上/下”を用いる系列(V系)である。 H系が主として認知者自身の「見え」を参照点(Ego-perspective)とする時間認識であることは、日本語や英語の時空間メタファーと同様であるが、V系が如何なる起点領域の写像なのかは未だ解明されていない。 本研究では、V系がXu, Dan (2008)によるSolar metaphorを基盤とした、環境を参照点(Field-based)とする時間認識であると捉える可能性を探る。
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