研究課題/領域番号 |
23K00488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
新井 学 成城大学, 経済学部, 教授 (20568860)
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研究分担者 |
中村 智栄 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (30726823)
大石 衡聴 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (40469896)
CHANG Franklin 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60827343)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 自動処理 / 選択制限 / 下位範疇化情報 / エラーに基づく学習 / 意味的整合性 / 眼球運動 / 事象関連電位 |
研究開始時の研究の概要 |
一時的な誤分析を引き起こす文を理解する際、動詞の下位範疇情報およびその選好性が無視され、意味的整合性が極めて低い解釈が採用され処理困難または処理中断が生じる結果が過去の研究で報告されている。本研究は、出現頻度に基づく確率情報の評価を行う前段階で、自動的に意味解釈を想起するプロセスが存在するという仮説の検証を第一の目標とする。また意味的整合性が著しく低くても、解釈が成立する場合には分析が構築されエラーに基づく構造情報の学習が起こるが、逆に解釈が成立しなかった場合には、解釈を試みる処理困難は生じるが学習は起こらないという仮説を検証し、予測エラーに基づく学習メカニズムとの関係を解明する。
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研究実績の概要 |
代表者の過去研究によって、構造的曖昧文の一時的な誤解釈において意味的整合性が極めて低い条件と、動詞の下位範疇化情報の不一致により解釈が成り立たない条件では後者の方が大きな処理負荷を引き起こすことが確かめられ、動詞の下位範疇化情報は文構造の処理において違反のペナルティーが大きく、無視できない情報であることが示唆された。また、この処理困難は正しい文構造への再分析を促すのではなく、一定程度持続し再分析の障壁となったことも示された。その理由として、私たちは文理解において意味を成す解釈を自動的に構築しようとするが、下位範疇化情報に違反している場合、その解釈自体作り出すことができない、そのため解釈を作り出すことに固執してしまい処理困難が持続すると考えられる。 本研究ではまず、事象関連電位測定実験を行うことで、下位範疇化情報の違反条件と、動詞の選択制限情報の違反条件では質的な違いがあるか検証した。この結果、下位範疇化情報の違反条件においてのみ刺激提示後約200msの早い段階でコントロール条件と比べて有意な陰性電位が観測された。この結果から下位範疇化情報は優先的に、即時処理されることが明らかになり、下位範疇化情報の違反においては二つの自動的なプロセス(解釈を構築するプロセスと下位範疇化情報の適用)が競合し、意味を成す解釈を構築できないために固執してしまう可能性が示唆された。 この仮説によると、動詞の下位範疇化情報の違反では固執が起こり再分析が妨げられるため、正しい構造分析の学習が起こらない、または学習効果が小さいことが予想される。一方、選択制限情報の違反では、整合性は低いが意味を成す解釈が構築されるため、学習が起こり、むしろ選択制限情報が拡大されると予想される。本研究ではこの仮説の検証を自己ペース読み実験、事象関連電位測定実験、視覚世界パラダイムによる視線計測実験によって検証を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備実験として行った事象関連電位測定実験のデータ分析に時間がかかったこと、そして複数の論文の執筆及び投稿、再投稿が重なった結果、新しい実験の準備に遅れが生じた。 また、事象関連電位測定実験の結果を受けて新しい実験のデザインの修正の必要が生じたため、計画全体に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2024年の夏までを目途に自己ペース読み実験を実施する。 この結果は早い段階で国内学会での報告を行い、フィードバックを得て論文執筆に取り掛かる。 そして、2025年の春季休暇までに眼球運動測定による読み実験、そしてオンラインでのプライミング実験を実施する。 この結果は2025年の夏に行われる国際学会(AMLaP 2025)で報告することを目標とする。
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