研究課題/領域番号 |
23K00505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
當山 奈那 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (90792854)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 琉球諸語 / 語学教材 / 言語再活性化 / 国頭語 / 沖縄語 / 教材 / 言語記録 / 言語記述 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,UNESCOによって危機言語に認定された琉球諸語のうち,国頭語に属する伊平屋島と伊是名島,沖縄語に属する平安座島を対象に,沖縄諸島内の言語多様性を尊重した言語継承の取り組みとして,言語記録と言語記述をふまえた教材の作成と講義による実践を行う。このことによって,言語変種間の言語差が大きいながらも,政治的な中心地である首里・那覇方言以外の語学教材がなかった沖縄諸島内で,新たな教材が作成されることになる。本研究は,琉球諸語を含む少数言語での言語再活性化の過程で起こりうる標準化の問題に対して,言語変種間の多様性を保持した言語継承のモデルを提示するものとなる。
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研究実績の概要 |
本研究では、琉球諸語のうち、伊是名島、伊平屋島、平安座島の言語を対象に、沖縄諸島内の言語多様性を尊重した言語継承の取り組みとして、言語記録と言語記述をふまえた教材の作成と講義による実践を行う。このことによって、言語変種間の言語差が大きいながらも、政治的な中心地である首里・那覇方言以外の語学教材がなかった沖縄諸島内で、新たな教材の作成を目指す。 今年度は、伊是名、伊平屋、平安座での実地調査を実施し、(1)地域の言語環境(話者の属性、言語使用場面、言語変種の構造)を明らかにし、(2)語学習得を目的とした教材の分析を行い、琉球諸語の文法概説の項目をもとに、初級の教材を作成した。さらに、(3)伊平屋のパイロット版の教材については、研究代表者が担当している大学講義で教材として使用し、琉球諸語の多様性に基づいた語学教育を行い、学生からのフィードバックを得た。 (1)~(3)より、伊平屋島・伊是名島のように島内でもいくつかの変種を持つ言語と、平安座島のように一つの変種のみの言語もあるため、各言語の状況に合わせた構成や調査票の調整を実施する必要があること、そして、学習者が琉球諸語について語学として学ぶだけではなく、琉球諸語のことを学べる内容にすることで、沖縄諸島内や各島内の言語間にヒエラルキーを作らず、学習者が地域差を尊重できるようになる教材を作成する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伊是名、伊平屋、平安座での実地調査を実施し、(1)地域の言語環境(話者の属性、言語使用場面、言語変種の構造)を明らかにし、(2)語学習得を目的とした教材の分析を行い、琉球諸語の文法概説の項目をもとに、初級の教材を作成し、(3)伊平屋のパイロット版の教材については、研究代表者が担当している大学講義で教材として使用し、琉球諸語の多様性に基づいた語学教育を行い、学生からのフィードバックを得た。また、2024年1月に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターと共催でアイヌ語の言語復興に関する特別講義を実施することができた。 一方で、教材について、話者へ再確認が必要な事項があったため、調査項目を追加して修正を加える必要があることや、中級までの教材が作成できなかったことが課題としてあげられる。また、予定していたwebサイトの作成についても遅れている。そのため、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作成した教材については、調査協力者に確認していただき、修正や追加を行っていく予定である。あわせて、調査協力者に教材に入っている方言を読み上げていただき、録音する。中級の教材を作成するために、これまでに調査がなされていない文法現象(例えば、否定文や終助詞)があれば、調査を実施していく。新しい文法事象を発見した場合は、その現象について調査分析を進めた上で、他の方言でもその文法事象に関する調査を実施し、学会や研究会で報告する。 教材作成やその使用方法、公開についても、学会発表や研究会での報告を通して少数言語の継承や再活性化で実績をもつ研究者と交流し、アドバイスをいただくようにする。
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