研究課題/領域番号 |
23K00521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
橋本 陽介 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10726631)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 連体修飾節 / 通時的研究 / 流水文 / 連体修飾 / 通時的 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者はこれまで、中国語の「流水文」と呼ばれる構造に着目した研究を行ってきた。中国語の書き言葉では複雑な「文」を作る際に、従属節構造を取るのではなく、節を並列的に連続させていく形でそれを形成している。従来の「複雑な文」の分析方法は、欧米言語を基礎にして作られたものが応用されていたが、新たな観点から中国語の「複雑な文」の修辞的構造を解明できた。 これまでの研究は、共時的研究であったが、このような「文」の修辞的な構造は歴史的に発展してきたものである。本研究では、中国語と日本語における小説言語の「複雑な文」の形成方法、節の連鎖のさせかたが、どのような歴史的経緯で形成されたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
“修飾節+的+名詞”の修飾節部分が複雑になったものは、外国語の翻訳によって産れたとしばしば指摘はあるものの、実際のところ五四時期以降とそれ以前で、どの程度の違いがあるのかははっきりしていない。そこで、本研究では“修飾節+的+名詞”が五四時期以降どう変化したのか調査した。用いる資料としては、①三国志平話、三国志演義、三言二拍、水滸伝、紅楼夢など、各時代の白話小説 ②清末の白話小説(老残遊記、官場現形記、二十年目睹之怪現状) ③ 五四時期の小説(中国語による小説と翻訳小説)を取り上げた。 (1)“的”連体修飾使用率の変遷を明らかにした。予備的な調査として、“的”連体修飾構造がどの程度使用されているのか、その歴史的な変遷を明らかにした。その結果として、 “修飾節+的+名詞”は時代が下るごとに少しずつ使用率が上がっているものの、五四時期に急激に上昇していることが明らかになた。 (2)複雑な“的”連体修飾節の分析 五四時期になってから“的”連体修飾節が複雑化した漠然と考えられているが、もしそれが正しいなら五四時期以前の“的”連体修飾節は単純であったはずである。では、実際にはどの程度「単純」であったのだろうか。また、節の内部構造には歴史的な変遷があるのかを明らかにした。「紅楼夢」「水滸伝」などから、 “修飾節+的+名詞”の修飾節部分がどのような構造を取っているかが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標に挙げた一つ目「中国語“的”連体修飾構造の歴史的発展」のうち、三項目中二項目について論文化し、発表することができた。最後の第三項目もすでに調査が済んでおり、二年目中に発表することが可能なところこまできている。 また第二目標の「中国語の流水文構造の歴史的発展」や第三目標「日本語の節連鎖方式の歴史的研究」についても、予備的なデータの収集を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
既に得られた“修飾節+的+名詞”構造と、五四時期のテクストの“修飾節+的+名詞”を比較することによって、どのような構造が新しく登場したのか、もしくは頻繁に用いられるようになったのかを明らかにし、論文化する。 「中国語の流水文構造の歴史的発展」「日本語の節連鎖方式の歴史的研究」について、対象となるテキストの調査をさらに進め、現代語につながる変遷を明らかにしていく。
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