研究課題/領域番号 |
23K00524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
栗林 裕 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (30243447)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 事態把握表現 / ナル的表現 / トルコ語 / チュルク諸語 / 主題化 / 限定性 / 決定木分析 / 対照言語学 / ウズベク語 / バルカン-トルコ語 |
研究開始時の研究の概要 |
チュルク系諸言語の自動詞的事態把握表現について、1)チュルク語南西グループ (バルカン・トルコ語やコソボの極小方言)-アゼルバイジャン語-トルクメン語)及びチュルク語南東グループ(ウズベク語-カラカルパク語)の間でみられる相違の原因の解明する、2)チュルク語の周辺地域において異系統の言語との接触による言語変容の解明する。その実施のため、i)身振りや視線など非言語的な観点の導入、ii)歴史的・文献学的言語研究などの 関連領域の知見の導入、iii)計量分析による言語分析法の開発などの総合的なアプローチにより、言語内的・外的要因が言語変化に及ぼす影響を比較するための普遍的な枠組みを構築する。
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研究実績の概要 |
令和5年度はチュルク系諸言語の自動詞的事態把握表現(いわゆるナル的表現)について、チュルク語南西グループ (トルコ語・アゼルバイジャン語・トルクメン語)及びチュルク語南東グループ(ウズベク語)の間でみられる相違についての客観的な基準の提示に注力した。そのための有力な方法として統計的分析による言語分析法の開発などの総合的なアプローチが考えられ、それにより言語内的・外的要因が言語変化に及ぼす影響を比較するための普遍的な枠組みを構築する必要がある。 本研究課題の研究目的の一つは自動詞的事態把握表現について、共通の翻訳テキストに基づいてチュルク諸語内での漸次変化・推移の状況を解明することである。当該年度はチュルク語南西グループ(トルコ語・アゼルバイジャン語・トルクメン語)及びチュルク語南東グループ(ウズベク語)でみられる類型論的特徴の相違の原因の解明するため、言語の変化を比較するための共通する枠組みを構築して、多角的なアプローチの実施に繋げた。具体的には自動詞的事態把握表現に文脈レベルの視点を導入し、カッパ係数などの統計的手法を用いて独自の計量的分析を開発し、実際の言語分析を実施した。トルコ語の辞書の全数調査からは、トルコ語の自動詞と他動詞の対立はほぼ同数であるがウイグル語では若干、自動詞型が優勢になる傾向がみられる。しかし自動詞的事態把握表現や主題化表示が文脈から受ける影響について、客観的な指標に基づく分析からは十分に明らかにされているとはいえない。当該年度では共通する翻訳テキストの対照的研究を中心に実施して、電子化コーパスを利用しつつ文脈レベルで生じる主題化や事態把握についての解明を一歩進めた。また年度末に研究集会を共催して研究成果の発表を行った(2023年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事態把握表現については、研究発表を3回(そのうち国際研究集会1回)を実施し、研究の方向性についての点検を行った。主題化とそれに密接に関わる限定性については研究発表1回を実施し、今年度の成果のとりまとめとして主題化についての学術論文1本を執筆した。その他に、事態把握表現に関わる言語表現と文化の関わりに関する招聘講演(カザフスタンとトルコ:オンライン)を2回実施し、国際的な社会貢献を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現地でのフィールドワークや文献調査を実施して、どのような類型論的特徴が核心的な特徴の変化に影響を及ぼすのかについて、周辺地域に位置してチュルク諸語と系統が異なるアルバニア語、ブルガリア語、セルビア語やアゼルバイジャン語やウズベク語との言語接触によるチュルク系少数言語や少数方言を分析することで自動詞的事態把握と他の類型論的特徴の分布の相関を明らかにしていく。加えて、チュルク語の周辺部でみられる関係節化、格表示、文法的一致やイントネーションのパターンなどの共時的特徴の相関が歴史的資料のなかでどのように実現されているのかを明らかにすることにより、新たな類型論的普遍性の提示に繋げたい。
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