研究課題/領域番号 |
23K00525
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 俊也 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (80207117)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 動詞体系 / 強変化動詞 / ゲルマン祖語 / インド・ヨーロッパ祖語 / アオリスト形 / 完了形 / 過去複数語幹 / 語等置の方法 / 喉音理論 / アクセントとアプラウトの型理論 / ヴェルナーの法則 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲルマン語強変化動詞体系ならびに関連する形態組織の歴史的発達・生成過程を十分に解明する説明理論の構築を行うことが本研究の目的である。換言すれば、従来の研究でその生成・発展の過程が十分解明されていない、ゲルマン祖語での強変化動詞活用組織並びに関連する品詞(他のクラスの動詞や名詞類など)の形態組織(活用体系)の出現に関して、説得力のある新たな通時的説明モデルを提示することを目指す。新たに発見された音韻諸法則を適用することに加え、印欧祖語の語形成におけるアクセントとアプラウトの型理論に依る形態分析を推進し、ゲルマン祖語強変化動詞の活用型がどのような過程を経て確立されたかを解明したい。
|
研究実績の概要 |
今年度は「古英語動詞体系を歴史・比較言語学的に考察する」(1)(2)という2本の論考を公刊した。これらにより、古英語ならびにゲルマン語の動詞体系の問題点を体系的に考察することとなった。インドヨーロッパ祖語の複雑な動詞体系からゲルマン語強変化動詞の体系がどのようにして生じたのかを、特に語等置の方法(the method of word equation)を用いて明らかにするのが本研究の主目的であるが、この問題を考察するにあたり、これまでの歴史・比較言語学研究で明らかになっていない問題が少なからずあることを念頭に置いてアプローチするのがよいという着想を得たものである。例えば、西ゲルマン語強変化動 詞2人称単数過去形に「過去複数」語幹が用いられるという現象があるが、この特異な形態的特徴が何に由来するか従来様々な議論がある。語幹形成母音によるアオリスト形 (a thematic aorist) が起源だとする説(Prokosch 1939, Campbell 1959, Hogg and Fulk 2011など)、完了希求法の形(a perfect optative)が起源だとする説(Jasanoff 2004など)、語根アオリスト希求法の形(a root aorist optative)が起源だとする説(Bammesberger 1986など)などである。このような特異な現象が強変化動詞生成過程についての重要なヒントを与えているのではないかという視点によって考察することは価値があると着想し、西ゲルマン語強変化過去2人称単数系の由来については従来と異なる説明がありるうると着想した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度において、古英語並びにゲルマン語の動詞体系についてどのような未解決の問題が残っているかを考察できたのは、意義があると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
ゲルマン強変化動詞の体系がどのようなプロセスを経てインドヨーロッパ祖語の動詞体系から生成されたかを、特に語等置の方法に依って考察するという基本方針に変わりはない。だが、これに加えて、上の欄で記したように、ゲルマン語動詞体系の中にある特異な現象に特に注目して、そのような現象が動詞体系の生成過程のヒントとなっていないか考察したいと思う。
|