研究課題/領域番号 |
23K00527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
武内 康則 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (40725371)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 契丹語 / 契丹小字 / 契丹大字 / モンゴル諸語 / 歴史言語学 / 契丹文字 / 言語再建 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、契丹語と契丹文字を対象としている。契丹語は契丹国(遼)(907-1125)を建国した契丹族が使用していた言語で、主に契丹文字(契丹大字及び契丹小字)により記録されている。研究の目的の1つは、契丹大字の解読を契丹小字との比較研究を通じて進展させることである。また、漢字や周辺民族が使用していた擬似漢字(契丹文字・女真文字)の派生関係に考察を加え、これらの擬似漢字の形成原理を解明することを目指す。これらの知見を活用して、契丹文字の解読を促進することを目標とする。本研究は、契丹語研究だけでなく、モンゴル語史などの関連分野にも貴重なデータを提供することを目指している。
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研究実績の概要 |
本研究は、契丹文字・漢字・女真文字間の派生関係を研究することによって、契丹語・契丹文字の研究を進展させることを目的としている。 1年目となる2023年度は、契丹語の音韻論を研究する上での基礎的データの一つである契丹小字で表記された漢語音についてまとめた研究書を出版した。契丹文字・漢字・女真文字間の関係を議論するためには、前提として契丹文字や契丹語そのものについての深い理解が必要となる。契丹語の音韻については研究が進展しつつあるものの、研究者の意見が一致していない部分も多い。今回出版した研究書は契丹語の音韻の研究だけではなく、漢語の音韻史の観点からも利用しやすいよう、収集したデータの一覧とその索引を資料編としてまとめている。 このほか、契丹小字・契丹大字テキストの文献学的研究を基礎とした契丹語の数詞に関する研究が進行中である。主に2つのトピックについて研究を進めている。1つは契丹語における数詞の派生形態論に焦点を当てた研究である。この研究においては本研究課題においても重要な問いである、契丹大字と契丹小字の表記システムの差異についても考察を加えている。もう1つは契丹大字で表記された数詞の音価推定に関わるものである。これらの研究成果は現在学会誌に研究論文として投稿中である。また研究成果の社会還元として一般向けの事典において「契丹文字」についての解説を行った(小松久男 編者代表(2023)『中央ユーラシア文化事典』442-443.東京:丸善出版)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの漢語音に関する研究をまとめ研究書として出版することができ、また当初予定していた契丹語の基礎語彙に対する研究についても一定の進展があり、研究論文としてまとめることができる見込みであることから、概ね順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
当面は、本年度おこなった契丹語の数詞を含む語彙の分析を継続して実施する予定である。また、契丹大字と漢字との派生関係について考察を加える予定であるが、そのためには契丹大字資料自体の文献学的研究を並行して進める必要がある。さらに、来年度は中国での現地調査によって新資料の収集や学会での発表を含む研究者との交流を進める予定である。
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