研究課題/領域番号 |
23K00528
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
漆原 朗子 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00264987)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 分散形態論 / 派生 / 転換 / 否定接頭辞 / 動名詞 / 形容名詞 / 軽動詞 / 繋辞 / 統語論 / 形容詞 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語の否定を表す派生接頭辞「不」「非」「無」と英語の派生接頭辞non-、 un-、 a-、 less等を比較すると、これまで看過されてきた興味深い事実が浮かび上がってくる。そこで、派生接辞の位置および派生と転換の関係を視野に入れた形態統語的研究を進める。 さらに、日本語で範疇変化を引き起こす接頭辞は否定の意味を有し、英語で動詞を派生する接頭辞にもde-、un-のように否定の意味を有するものがあり、範疇は異なるものの意味的な共通点がある。文レベルでも肯定文に対して否定文は状態性を有するという経験的証拠が多い。そこで、意味的な観点からも分析を行い、これまで考えられなかった方向への研究も展開する。
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研究実績の概要 |
日本語の漢語の否定接頭辞「不」「非」「無」「未」が動名詞(Verbal Noun:VN)および形容名詞(Adjectival Noun: AN)に接辞化する際の範疇変化に関する複雑な振舞いを詳細に分析した。その結果、それらが分散形態論の重要な主張の一つである「語根は範疇指定を持たない」の経験的根拠となることを示した。その内容を「日本語否定接頭辞による範疇変化:分散形態論による分析の試み」と題して日本エドワード・サピア協会第38回研究発表会(2023年10月7日 於東京大学本郷キャンパス)で発表した。 また、大関・漆原(編)『分散形態論の新展開』を編集すると共に、同論文集に上述の内容をまとめた論文「日本語否定接頭辞の諸相 ― 分散形態論の説明力」を刊行した。 Morphology and Lexicon Forum 2023(2023年9月9日・10日 於滋賀大学大津キャンパス)、日本英語学会第41回大会(2023年11月4日・5日 於東京大学駒場Ⅰキャンパス)、日本言語学会第167回大会(2023年11月11日・12日 於同志社大学京田辺キャンパス)に出席、関連する発表を聴き、質問・コメント等を行った。 さらに、2024年3月5日~10日、マサチューセッツ工科大学(MIT)において、宮川繁氏(MIT)、Heidi Harley氏(University of Arizona)、Caroline Heycock氏(University of Edinburgh)、Sabine Iatridou氏(MIT)と上述の分析について意見交換を行い、有益な助言等を得た。 特に、Harley氏は分散形態論の中心的研究者の一人であり、氏との研究打ち合わせ(3月6日)、MIT言語学・哲学科における講義(3月6日)および講演(3月8日)は研究を進めるうえで大変示唆に富むものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書において提示した問題について、事実の詳細な観察に基づいて分散形態論の枠組みでの分析を行い、学会発表および論文執筆を行ったから。 そして、それに基づく研究を"Aspects of Japanese negative prefixes: Empirical support for category-less roots"と題してThe 21st International Congress of Linguists (ICL)(2024年9月8日~14日 於ポーランド・ポズナン市)のWorkshop " Prefixes and suffixes in current theories of grammar"に応募したところ、採択されたから。 また、マサチューセッツ工科大学(MIT)において、宮川繁氏(MIT)、Heidi Harley氏(University of Arizona)、Caroline Heycock氏(University of Edinburgh)、Sabine Iatridou氏(MIT)と上述の分析について意見交換を行い、有益な助言等を得たから。 そして、それらの意見交換を基に、軽動詞構文、形容詞類の研究を継続的に行っており、宮川氏、Harley氏、Heycock氏、Iatridou氏とも繋がりのある岸本秀樹氏(神戸大学)、渡邉明氏(東京大学)に加え、若手研究者である秋本隆之氏(工学院大学)、情報科学者である多田舜一氏(東洋大学)も共同研究者として、国際共同研究の計画に着手したから。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究成果を"Aspects of Japanese negative prefixes: Empirical support for category-less roots"と題してThe 21st International Congress of Linguists (ICL)(2024年9月8日~14日 於ポーランド・ポズナン市)のWorkshop" Prefixes and suffixes in current theories of grammar"において発表する。 2024年度は英語の転換を詳細に分析し、Hale & Keyser (2003)などで提唱された語彙統語論(lexical syntax)の分析も参照しながら、分散形態論における転換の過程と表示を精査する。そして、自他交替も含め、そもそもなぜ英語では範疇変化等が音韻的に顕在的な様相を伴わないのに対し、日本語では顕在化するのかという類型論的問いも考察する。 同時に、上述の国際共同研究を進めることにより、他言語の形容詞類や繋辞との比較を行い、通言語的一般化を通して、普遍文法の観点から日本語の諸現象の位置づけを考察する。 国内外での発表を行うと共に、秋本隆之氏(工学院大学)、岸本秀樹氏(神戸大学)、多田舜一氏(東洋大学)、渡邉明氏(東京大学)、宮川繁氏(MIT)、Heidi Harley氏(University of Arizona)、Caroline Heycock氏(University of Edinburgh)と国際共同研究を進める。
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