研究課題/領域番号 |
23K00535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
難波 和彦 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (10550585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | コードスイッチング / 選択体系機能文法 / Cardiff Grammar / 選択体系機能言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
従来コードスイッチングが「なぜ」、「どのようにして」起きるのか?」について、前者は原因を探り、後者はその結果を分析する形で、別々に行われてきたが、双方からの視点を統合することで、この現象の全体像が見えてくると考えられる。 そこで本研究では、Hallidayの選択体系機能言語の唱える「3つのメタ機能(経験的意味機能、対人的機能、テクスト形成機能)」に依拠しつつ、日本語と英語という言語類型論的に離れた言語が併用される際に生じるコードスイッチングの様相を、談話音声データを使用して分析する。これにより、日英語間コードスイッチングが、「何を要因として起きるのか」という包括的視点から説明ができるようになる。
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研究実績の概要 |
本研究は、日英均衡バイリンガルのコードスイッチングの構造を、Halliday(1994)の選択体系機能文法を用いて分析するものであり、1年目にあたる2023年度はすでに集まっているデータの分析を進めていく予定であったが、分析方法について、見直しをすることになり、基盤となるHallidayの理論(Sydney Grammarと呼ばれる)を発展させた、Fawcett (2005)のCardiff Grammarを分析方法として取り入れ、軌道修正をすることになったために、当初の予定のデータ分析を進めるというのを一旦止めて、Cardiff Grammarで分析をする準備に時間を費やした。 具体的には、HalidayのSydney Grammarでは、節=clauseを3つのメタ機能:①経験構成的機能 ②対人的機能 ③テクスト形成的機能から分析するという方法をとっているが、Cardiff Grammarでは、この3機能を基本として、さらに精緻化し、①経験構成的 ②論理関係構成的 ③対人的 ④肯否極性 ⑤ 確実性 ⑥情動的 ⑦主題構成的 ⑧情報構成的の8カテゴリーの意味・機能の面から分析、さらにSydney Grammarでは扱わない樹形図を使った統語構造の分析という方法もとることとしている。 Sydney GrammarからCardiff Grammarへ分析方法を移行したのは、変更というよりも発展・精緻化というべきであるが、それに伴い、新しい分析方法を確立するために、2023年秋にCardiff GrammarについてのFawcett博士の著書を日本語での訳書として出版し、日本語の分析にも取り組んでおられる摂南大学の船本弘史博士に、研究方法について、話を聞きにうかがい、また研究協力者に、Cardiff Grammarについての説明をオンラインで行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、データの分析を進めていく予定であったが、基盤となる理論を、Haliday(1994)の基本理論であるSydney Grammarから、Fawcett(2005)のCardiff Grammarに変更をした。大きな枠組みとしてHallidayの選択体系機能言語学をもとにしていることに変わりはないが、3つのメタ機能から見るというのが、さらにその中を細かく見て、8つの意味・機能についてみる、Sydney Grammarでは使わないSyntax treeを使った分析など変更点があり、Cardiff Grammarの主唱者であるRobin Fawcett博士の元で研究を続け、当該年度に訳本を出版された摂南大学船本准教授のところに、話を伺いにいき、分析の補助をしてもらう研究協力者安村由香氏にCardiff Grammarについての説明をするなど、分析の準備に時間を費やした。 ということで、年度当初に選択体系機能文法(Sydney Grammarモデルで)データの30%のラベル付けをするという部分は完了しておらず、「遅れている」という自己評価となった、Cardiff Grammarでのラベル付けをする方に、少し方向を転換した。
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今後の研究の推進方策 |
コードスイッチングの発生要因について、社会言語学・語用論的側面と、文法・語彙的側面からの研究を「何が要因となっているのか」という問いに束ねて分析・説明しようとする目的がある。この「問い」を解くために、選択体系機能文法を用いるという方向に、変わりはないが、2年目である令和6年度は、より発展したモデルであるCardiff Grammarを実際に使った分析-具体的には8項目の意味・機能構造と統語構造についての分析を研究協力者の協力を得て、進めていく。当初、2年目にはデータ全体の70%のラベル付けを完了するとしていたものを、このCardiff Grammarを用いた分析に軌道修正していくので、50%のラベル付けを完了させることを目指す。
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