本研究課題では、適切に採集・文字化され、実際の語りに忠実な文字化が行われた茨城方言の昔話集に注目する。それらは現地調査に基づく方言資料を補完する方言資料でもあると考えられる。しかし、昔話集を方言資料として使った方言研究や方言資料としての昔話集の有用性を検討した研究は少ない。そこで、本研究課題では忠実に文字化された昔話集を方言資料としての視点から捉えて、(1)昔話集に使われている方言の特徴を明らかにし、(2)各種先行研究並びに独自調査による現代の方言との比較を行い、方言の変遷の状況を明らかにする。また、これらの調査研究をとおして、(3)昔話集を方言資料として使用する場合の留意点を明らかにする。
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