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宮古語大神方言の総合的研究-言語三点セットを作成する-

研究課題

研究課題/領域番号 23K00542
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02070:日本語学関連
研究機関千葉大学

研究代表者

金田 章宏  千葉大学, 大学院国際学術研究院, 名誉教授 (70214476)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード宮古語 / 辞書 / 文法書 / テキスト / 大神島方言 / 大神方言 / 文法記述 / 方言辞典
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、世界的に見ても特徴的な要素を持つ宮古語大神方言の言語三点セットの作成にある。三点とは、辞書、文法書、テキストを指す。これらは新たに言語を学ぶにあたって必要なもっとも基本的なものである。これらの作成によって、きわめて特徴的な要素を持ちながら、話者数が数十人ときわめて少なくなった大神方言が、仮に消滅してしまった場合でも、新規の継承者による言語獲得が可能になることを目指す。
辞書については八千語レベルのもの、文法書についてはきわめて詳細な五百ページ程度のもの、テキストについては一万例以上の例文と録音のセットの作成を目指す。

研究実績の概要

2023年度は4月から翌年2月までに計9回の現地調査(他の予算を含む)を実施した。前年度までの予定と大きく変わった点は、主たるインフォマントとして予定されていた島の最高齢者である狩俣英吉氏が23年4月に病気により急逝されたことである。狩俣氏からはこれまでの文法調査から語彙調査へと比重を移していこうとしていた矢先であったが、結果として、家庭の事情で沖縄から大神島にもどっていた伊佐照雄氏が語彙を収集していることが分かり、共同して語彙の整理をしていくことになった。伊佐氏の収集したデータは膨大なもので、かつ音韻表記もきわめて正確、意味記述も母語話者でなければ表現できないような内容になっている。今後は、代表者がこれまで収集した語彙と伊佐氏の収集した語彙とを合体させて、大神島方言辞典の完成を目指すことになる。
あわせて、伊佐氏と共同で、近所のお年寄りたちを対象に自然談話も多数録画することができている。伊佐氏が関与することで、お年寄りたちもきわめて協力的でごく自然な内容になっている。その内容、話題は多岐にわたっており、それらの文字化も順次進められていて、話者のごく限られた大神島方言の貴重な資料となっている。
23年度に公開された成果としては、【発表】金田章宏「宮古語大神方言 助数詞・序数詞とその周辺」沖縄言語研究センター定例研究会(2023.5.13)、【発表】金田章宏「宮古語大神島方言 助辞カミとターシのふるまい」2023年度第2回「危機言語の保存と日琉祖語のプロソディー」国立国語研究所合同研究発表会(2024.3.17)がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大神島方言の文法書については、その基本的な内容は調査の終盤に向かいつつある。本科研では、一方言についてのきわめて詳細な文法記述を目指しているが、現段階ではほぼ順調に作業が進んでいる。文法的意味の記述についても、語感のすぐれた伊佐氏の協力により、より詳細で正確な意味記述が可能になっている。
当方言の辞書については、代表者がこれまで収集してきたものに加えて、地元で語彙を収集している伊佐氏のきわめて良質のデータが合体することになり、母語話者の詳細な意味記述をふくむ質、量ともに充実した方言辞典の完成が期待できる。語彙数ではここ数年で刊行された1万語を超えるクラスの方言辞典には及ばないが、基礎語彙を網羅し、その意味記述も詳細であって、現段階では十分な内容になることが見込まれる。
テキストについては、これまでの狩俣氏による文レベルの膨大なデータに加えて、23年度から伊佐氏と作業を進めているきわめて良質の自然談話録画の収集により、一方言のテキストとしては質、量ともにかなりのデータが蓄積されている。琉球諸語諸方言のなかでもトップクラスのものになることが期待される。

今後の研究の推進方策

文法記述については、これまで個別テーマごとに調査記述研究を行い、論文や発表によって公開を行ってきたが、今後は文法の体系的なバランスの良い記述を目指して、可能な限り詳細な記述に全体を整える努力が必要になる。この点については母語話者で語感の優れた伊佐氏の協力を得られる予定なので、順調に進められるものと考える。
辞書については、代表者のこれまでの作業と伊佐氏のデータを合体させる必要があるが、記述のやり方が異なっているため、今後はその部分の調整に時間がかかることが予想される。しかし、内容的には十分なものがあるので、地道な調整作業を行っていくのみである。
テキストについては、可能な限り多くの大神島方言音声映像資料を残さなければならない、という点で伊佐氏と認識を共有しているので、今年度以降も記録作業を継続していく。具体的には伊佐氏の自宅に近所のお年寄り数名に集まってもらい、自由に会話してもらう。これまでは毎回30分から1時間程度の録画を多数行っており、そのなかのまとまった内容の部分について文字化を行っていて、今後もこのやり方を継続する。
以上の研究作業を通して、世界的に見ても特徴的な大神島方言の全体像を詳細に記述・記録し、消滅がほぼ確実とみられている当方言の復活・復興のための基礎としたい。
これらの研究成果については、国立国語研究所のHPで公開する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 宮古語大神島方言 助辞カミとターシのふるまい2024

    • 著者名/発表者名
      金田章宏
    • 学会等名
      2023年度第2回「危機言語の保存と日琉祖語のプロソディー」国立国語研究所合同研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 宮古語大神方言 助数詞・序数詞とその周辺2023

    • 著者名/発表者名
      金田章宏
    • 学会等名
      沖縄言語研究センター定例研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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