研究課題/領域番号 |
23K00547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸本 恵実 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (50324877)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カトリック再宣教 / イエズス会 / パリ外国宣教会 / キリシタン / エヴラール(Evrard) / プチジャン(Petitjean) / 洋学会話書 / 宣教に伴う言語学(宣教言語学) / 西欧人の日本語研究 |
研究開始時の研究の概要 |
明治期カトリック日本再宣教を担ったパリ外国宣教会では、フランス語母語話者の宣教師により日本語学習が行われた。その初期教科書としてフェリクス・エヴラール神父により編纂された『日本語教程』(1874)は、浮世草子『新鑑草』(1799序)を口語訳し解説を加えた会話学習書であることが判明した。本研究では、『新鑑草』の近世文語から近代口語への翻訳の様相、フランス語母語話者による日本語の発音・文法の解説を分析することにより、近代口語の知られざる一面に光を当てる。さらに、本研究を「宣教に伴う言語学」分野の一翼としてパリ外国宣教会による日本語研究の端緒と位置づけ、成果を国内外に発信する。
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研究実績の概要 |
(1)フェリクス・エヴラールによる『日本語教程』(1874)の一人称・二人称を分析し、「わたくし」でなく「わたし」を通常の形として採用するなど、同時期の他の西欧人による観察よりも口語的要素が強いこと、浮世草子『新鑑草』を底本とするテキスト部よりも練習問題などの非テキスト部に口語的傾向が強いことを明らかにした。 (2)ベルナール・プチジャンによる『羅日辞書』(1870)の、キリシタン版『羅葡日辞書』(1595)からの編集実態を分析し、見出し順や日本語訳に少なからぬ改変が加えられていることを明らかにした。見出し順については、16世紀のラテン語辞書カレピヌスの見出しを『羅葡日』にてアルファベット順に並び替え、『羅日』にてさらにそれが徹底された結果、『羅葡日』においても『羅日』においても、既に記した語釈を指す「miguino(右の)」の使用など日本語訳に調整が行われていた。 (3)長崎神学校の初級ラテン語教科書として印刷された『ラテン語講義』(Praelectiones Linguae Latinae, 1877)が、当時フランスで知られたロモンによる旧約聖書要略Epitome historiae sacraeを底本とする、やや口語的な創世記抄訳であることを明らかにした。 (4)キリシタン版『さるばとるむんぢ』は従来1598年刊行のカサナテンセ本のみ存在が知られていたが、2022年発見された、1595年頃刊行された別刷のユトレヒト大学本にも漢字語集・キリシタン用語集が付属していた。2本の辞書を分析し、本書に信徒の読み書きおよび基本教理学習の用途も付加されていたことを推測した。 (5)パリ外国宣教会図書館に所蔵されている日本関係書は、在仏日本関係書群の一つでありながら、ほぼ未調査のままになっていることが判明した。これらには18~19世紀刊行の和本など貴重な資料が含まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パリ外国宣教会の語学書のうち、当初予定していた『日本語教程』以外の複数の資料について調査を進められたため。
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今後の研究の推進方策 |
パリ外国宣教会の資料は国内外に膨大に現存しており、語学書に限っても研究が進んでいないものが多いので、書誌および成立事情を解明しながら進めていく。
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