研究課題/領域番号 |
23K00566
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 鹿児島国際大学 |
研究代表者 |
松尾 弘徳 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 准教授 (40423579)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 地域共通語 / 奄美語 / 方言文法 / 日本語文法史 / 文法変化 / 義務的モダリティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究のテーマは、地域共通語としての奄美語に関する方言文法研究である。マイという義務的モダリティ形式に着目し、このモダリティ形式に関して方言調査からの実証研究と文法変化に関する理論的研究とを結びつけることにより、鹿児島奄美群島地域における地域共通語に生じている文法変化を明らかにしたい。 上記の研究を進めることで、①奄美群島地域で生成された地域共通語の伝播プロセスや、②義務的モダリティと認識的モダリティの連続性が明らかにできるものと思われ、方言研究のみならず文法史研究および社会言語学研究にも大きな貢献をなし得るものと考えている。
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研究実績の概要 |
①地域共通語としての奄美語に関する研究:本研究課題の主要テーマである鹿児島県奄美群島地域における「地域共通語」に関する研究を進め、以下の2本の学術論文を公表することができた。 ・「奄美群島方言における義務的モダリティ形式マイについて」(単著, 『西日本国語国文学』10, 90-103) ・「鹿児島県奄美群島における地域共通語に関する研究」(共著, 鹿児島国際大学附置地域総合研究所編『地域探究の視角』,ラグーナ出版, 2024年) また、「義務的モダリティのマイ」に関する方言調査を2024年3月に沖永良部島で実施し、20名ほどのインフォーマントを対象とした対面方言調査を実施することができた。あわせて紙媒体による同内容のWebアンケートを並行実施し、80名程度のインフォーマントより回答を得ることができた。 ②研究成果の大学教育・社会活動への寄与:上記①の研究で得られた成果は、鹿児島の文化・方言をモチーフとした謎解きイベントを申請者のゼミナール主体で実施することで所属大学での学生教育や地域貢献に役立てている。今年度はかごしま水族館いおワールドでの館内周遊型謎解きイベント(2023年9月16日,9月23日)を開催し、地域自治体と連携しながら研究成果の社会還元をおこなった。上述の沖永良部での方言調査実施後には、島民の方々を対象とした謎解きイベント(2024年3月17日,エラブココ内レクチャールーム(大島郡知名町)および和泊町役場内結いホール(大島郡和泊町)にて)を開催し、30名ほどの参加があり、地域への貢献が叶った。 ③関連諸学会・研究会への参加、および役職業務:関連諸学会・研究会へ今年度も積極的に参加し、日本語文法史および方言文法研究に関する最新の知見を学んだ。また、所属学会役職業務として西日本国語国文学会大会委員および九州大学国語国文学会常任委員を務めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「おおむね順調に進展している」と判断した理由は下記の3点による。 ①研究実績の概要に記した通り、課題申請時に記載した研究課題に関する研究成果を2本の学術論文として公表できた。 ②研究実績の概要に記した通り、本研究課題の研究対象地域である奄美群島のうち沖永良部で方言調査を実施し、対面調査およびWebアンケートにて多くのデータを得ることができた。 ③方言研究などの「フィールドワーク」の経験を生かして、本務校のゼミナールで実施している謎解きイベントによる地域貢献に関する論考を公表できた。 次年度も引き続き研究活動に精進したい。
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今後の研究の推進方策 |
これまでおこなってきた方言調査により得られたデータについては、Webアクセスできる環境であればどこでも編集できる「スプレッドシート」で管理し、整理をおこなっている。次年度以降もより効率的に研究成果の運用ができるように改善を図ってゆきたい。 これら収集できた方言データの分析結果については、次年度も学術論文や学会発表のかたちで積極的に公表したいと考えている。現段階ではとりわけマイが持つ認識的モダリティの用法に関心を寄せており、奄美群島内における使用層や意味用法の記述をおこない、義務的モダリティ用法との関連性を論じたいと考えている。
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